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中国茶・台湾茶と旅行 あるきちのお茶・旅行日記(旧館)

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2013.01.25
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一気読み企画第3弾はこちら。

茶のチカラ


薬になる中国茶図鑑 茶のチカラ


えー、私の持論と真逆の本ですねw


真逆とはいえ、自分の耳障りの良いことばっかり聞いていても、仕方ありません。

やはり両方の言い分を聞かないとバランス良くはならないですし、ひょっとしたら役に立つ内容もあるかもしれません。

監修は中国の先生だし、中国国際放送局も取材に協力している、と来てますし。



と自らを奮い立たせて、読み始めたのですが・・・



あまりのトンデモ本ぶりに、怒りがこみ上げてきました(怒)



ブログでネガティブなことは書きたくありませんが、これはあまりにひどい。

ということで、本日ばかりは怒りを解禁します☆



この本、100ページを少々越えるぐらいの本ですが、42種類のお茶を紹介しています。

その紹介の仕方が、かなり刺激的で「高血圧」「ストレス」「風邪」「ガン」と病状別に向いているお茶を紹介しています。

うーん、この分類を見るだけでも、かなり危なっかしい本ですね(^^;)

で、それぞれのお茶について、見開き2ページずつで紹介しています。


たとえば、「動脈硬化」に効くお茶としては、信陽毛尖と東方美人が挙げられています。

この時点で、私は「はぁ?」と思いましたが、その根拠を読んでみました。

信陽毛尖のところでは「緑茶に含まれるアセンヤクノキ酸には、血管の強靱性と弾力性を高める働きがあります」と書いてあります。
だったら、緑茶全部じゃないの?と思います。
案の定、他にも良いお茶として、龍井や碧螺春、黄山毛峰、六安瓜片なんてのも枠囲みで載ってます。

その後で、パナマ万博で金賞を云々という、どこでも見かける信陽毛尖の売り文句が書いてあります。
緑茶の中から特に信陽毛尖を挙げた理由は、全く見当たりません。なんじゃこりゃ。


では、東方美人は?と思ってみると、「ウーロン茶ポリフェノール」がアテローム性動脈硬化症に良いという話だけです。
だったら、烏龍茶全部よね?と思います。
案の定、凍頂烏龍や安渓鉄観音も向いていると枠囲みで書いてあり、なぜかプーアル茶まで入ってます。

で、東方美人はオリエンタルビューティー云々と、これまたどこにでもありそうな説明書きが並べてあります。
こちらも、なぜ東方美人を特に採りあげたのかの説明になっていません。


というかウーロン茶ポリフェノールがそんなに重要なら、一芯二葉で作る東方美人じゃなくて、もっと成熟した大きめの茶葉を使った烏龍茶、たとえば武夷水仙とかの方が含有量が多いので向いていると思いますが。

・・・が、そういうお茶の成分についての基本的な理解はされていないようです。
青茶だから、東方美人だと考えているのだとしたら、なんて安易(失笑)



えー、この本、万事がこんな感じです。
イライラポイントがありすぎまして、血圧が上がるので、これ以上はとても書けませんw


お茶についても健康についても説明があまりにも薄っぺらで、察するに執筆者の方は、この分野に対して詳しくないのだろうと思います。
この本を担当することが決まってから、ちょっと勉強して書いてみました的な匂いがプンプンします。
なにより、お茶に対しての思い入れや愛が全く感じられません。


監修者の先生は、おそらく「緑茶はこういうのに効くことが分かっている」とか、そういう類の話をしたんだろうと思います。
茶種ごとに含まれている主要な成分(カフェインとかカテキンとかテアニンとか)の効能というのは、ある程度は見えていますから。
今の研究から、お茶の効能について確からしいことを言えるのは、せいぜいこの程度なんですよ。

ところが、それを1つ1つのお茶に落とし込んで、「このお茶は、これに効く」とやってしまった。
日本側で勝手に解釈して、適当にお茶を当てはめて、当たり障りのない説明書きをつけたのではないかと思います。

これは推測と言うよりも、当てずっぽうですね。「あるある大事典」よりひどい。
名前を出している監修者の先生に失礼ですし、こんな本を出版してしまう出版社の姿勢を疑います。


企画自体が無茶な本ですから、編集者の人たちは相当苦労したと思います。

その点は、同情します。

でも、出版社の看板でこの本を買っちゃう人もいると思うので、非常に不幸です。



というわけで、この本に関しては、全くオススメできません。

このブログの読者さんには 「買っちゃダメ!」 と声を大にしてお伝えしたい。
ああ、ネットで買って損した、という本です。

同時期に出版され、何となくテーマが似通っているので、昨日ご紹介した『中国茶の教科書』とどちらを買おうかと迷っている方もいると思います。

が、これはもう圧倒的大差で『中国茶の教科書』をオススメします。
こちらの本には、お茶に対しての愛がありますし、情報量の差は比べものになりません。
貴重なお金はそちらに回しましょう。


それにしても、いい加減な情報で踊らされる消費者の方、そしてその接客に当たらねばならない各地の中国茶専門店さんの苦労を考えると、やりきれません。
多くの人手に渡る前に、さっさと回収されるべき本だと思います。



『薬になる中国茶図鑑 茶のチカラ』
講談社 編
講談社
ISBN:978-4-06-217251-6



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全くオススメできないので、本へのリンクは張りません





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Last updated  2013.01.25 18:12:14
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