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テーマ:中国茶好き集まって!(926)
カテゴリ:旅行
さて、肝心のお買い物ですが、最初に出してもらったいくつかのお茶は、正直買う気が起きませんでした。
グレード的には、普及価格帯の少し上ぐらいのお茶でした。 ・・・といっても、有名産地の高山烏龍茶並みの価格なんですけどね(^^;) 普通の烏龍茶では、あまり良い値段はつかないであろう平地のお茶。 それが「技術と条件が良ければ高級茶として通用する」というのが東方美人の凄いところであり、買い手にとっては悩ましいところです。 1軒の茶農家さんのロットでも、まさにピンからキリまであり、そして上を見ていくと、本当にキリがないという・・・ 茶農家さんは、数あるロットの中から日本の流通に乗せられるぐらいの価格の品質の良いお茶ということで紹介してくれたようです。 確かに日本の消費者が茶葉に出せる金額と輸入経費(農薬検査費用とか)を考えると、ギリギリの価格帯かなー、と思います。 「ちょっと高いけど、かなり美味い」と言われるであろうランクのお茶です。 が、新竹あたりの東方美人の場合、まだ上のランクがあります。 せっかくなので、そういうお茶が欲しいのです。 ところで、一般人が端から見ているほど簡単では無いのが「茶農家での仕入れ」です。 生産者のところには、失敗とまでは言いませんが、ちょっと癖のあるお茶も数多くあります。 流通に乗せやすい価格のお茶ほど、この手のお茶が多いと思います。 これは技術の問題というよりは、農作物ならではの問題です。 どんなに腕のある茶農家さんも、天候の関係から、百発百中の成功率というわけには行きません。 「茶摘みの日に雨降っちゃった」とか「日光萎凋しようと思ったら雨降っちゃった」とか「茶摘み人が言うこと守らず、大ぶりのお茶になっちゃった」とか「発酵の時に湿度が高過ぎて、水が抜けない」とか。 天候任せの農作物ですし、人手を介するものなので、品質のブレは必ず起こります。 その結果がお茶の癖という形で出ます。 評茶目線では、癖はマイナス評価です。 しかし、完璧なお茶というのは、それこそ品評会で賞を取るようなお茶なので,普及価格帯ではなかなか、あり得ません。 特に東方美人のような相場のレンジが広いお茶では。 いわゆるプロである「茶商」は、軽くテイスティングしただけで、そのお茶の個性と潜在能力を把握し、 「軽く焙煎したらどうか?」 「ブレンドでカバーできないか?」 「淹れ方を工夫したら行けるんじゃないか?」 「日本の水なら大丈夫じゃ無いか?」 「少し寝かせて熟成させたらどうか?」 など、色々な方向性で、長所を活かし、欠点を感じさせない方法を考えます。 人間と一緒で、癖はあっても活かし方次第なんですよね。 上手に演出をしてあげることで、能力を引き出してあげるといいますか。 キラリと光る部分を持った原石を見つけて、そこを磨いたらどうか、と考えるわけです。 茶農家から茶商を経由することで、評茶目線では「問題あり」だったはずの茶葉は、「お値段の割に美味しいお買い得な茶葉」に生まれ変わります。 こういう「新しい価値の創造ができる人」こそが「茶商」です。 彼らの存在価値は、ここにあります。 茶商とは、現地で「お買い物」をし、右から左へ商品を流して、マージンを取る人のことではありません。 話を元に戻します。 茶農家さんのところに行くと、茶商のフィルターを通していないお茶が並びます。 まさに玉石混淆。一長一短のあるお茶が物凄く多いので、選ぶのが大変です。 毎回、どれにするか悩みます。 こういう半商品なお茶に向き合うと、「茶商」の凄みだったり、必要とされる能力の分厚さを痛感します。 中には、評茶員資格を取ったら仕入れができる、とかいう幻想を持つ人もいるかもしれませんが、そんなに甘いものじゃないです。 農家とコミュニケーションが取れる&お茶の品質の善し悪しが分かることは大前提。 それに加えて、顧客のニーズ・流行だったり、お茶を良化させる手法まで精通していることが必要です。 茶商を目指そうとする人は、かなり根を入れて修行しないと難しいのではないかと。 そんなわけで、私のようなへなちょこは、普通に「お買い物」をします。 今回、私の買ったお茶ですが「蜜香と茶水の繊細さがもう少し欲しい」とオーダーして出てきた、このお茶です。 今まで飲んでいたお茶とは、次元の違う香りの華やかさと繊細でシルキーな口当たり。 甘みも余韻も喉に長ーく残ります。 むーん、これは美味しい(^^) これを飲むと、今までのお茶は悪くないけど、物足りなく感じちゃいますね。 お値段を聞いたら、「んー、下手すりゃ大禹嶺が買えるね」というお値段でした(汗) でも、滅多に出会えないものなので、こちらを購入。 一緒に行った方と袋ごと買い占めて山分けしましたw ちなみに、このお茶でも東方美人の最高級品ではありません。 1斤数万元 なんていうお値段が付いているものも、この茶農家さんにはあります。 が、こういうお茶は既に売り先が決まっているか、品評会に出ちゃうので、普通の人はお金を積んでも売ってもらえません。 東方美人に関しては、台湾のお茶というよりも、大陸の鉄観音とか単ソウ、岩茶のような相場が形成されている気がします。 ・・・このくらいのグレードで満足するようにしよう(^^;) 茶農家さんの話によると、今回売ってもらえたお茶は「品評会に出すはずだったのだが、間違えて親戚に売ってしまい、品評会に出すには量が足りなくなった」のだとか。 なるほど優等生なわけです。 そして、買えたのは「超ラッキー」だったな、と。 来るのが1日遅かったら、きっと売り切れていたことでしょう。 こんなふうに、常々通っていると「運が良ければ」良いお茶に出会うことはできます。 ただし、良いお茶は相応のお値段がしますし、まとまった量を買う必要がありますけどね(^^;) 「茶農家に行けば、安くお茶が手に入るのではないか」と思う人もいると思います。 が、そこそこのお茶を安く買いたいのであれば、玉石混淆の茶農家さんに行くよりも、小売りしてくれる問屋に行く方が良いものに出会える確率は高いし、買いやすいと思います。 茶商のフィルターを通した方が、普通の消費者にはメリットが大きいですね。 生産者の様子を知るという見学込みで行くのなら良いと思いますけど。 なんだかんだで、茶農家さんには4時間弱、滞在してました。 サンプルを出してもらうにも時間がかかるし、パッキングも製茶作業の合間にしてもらうので、時間の流れが、どうしてもゆっくりになります(^^;) 茶農家さんから「また来いよー」と見送られ、近所の人の白タクシーに乗って、高鉄の駅に行き、そこから台北へ。 夕食は台北駅の2階のフードコートで担仔麺のセットをば。 このあと、雙連駅近くのホテルへチェックインし、初日終了。 朝の移動から長い一日になりました。 続く。 にほんブログ村 本当の意味での「茶商」は少ないかも お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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