2日目は台北のお茶屋さん巡りに充てました。
まずは1軒目。
向かったのはMRTの南京東路駅です。
出口を出たら、目の前の慶城街を直進。
日本の大使館的役割を果たす「交流協会」の入っているビルを右手に見ながら、歩いて行きます。
で、長春路を右折。
テクテクと右側を歩いて行くと、ガイドブックでもお馴染み、茶梅の美味しい吉軒茶語がありますが、ここを華麗にスルー。
7軒か8軒隣のこちらのお店へ行きました。
お茶好きリピーター御用達の富宇茶行です。
私、実はこれが初訪問なんですね(^^;)
こちらのお店は、いわゆる卸売りのお店なんですが、最低単位150gぐらいから買えます。
お店に入ると、お茶の詰まった大きな袋が転がっていて、実に卸っぽい感じです。
右側の棚には、150gぐらいの小分けパックになったお茶が置いてあり、小売りもやってる感を出しています。
阿里山、杉林渓、梨山と主要な産地のお茶はあり、一通り揃いそうですね。
お茶の値段も明記してあり、普通の茶葉店の相場から比較すると「お、結構安い」と思います。
ただ、問題は品質です。値段だけ安くても、美味しくなければ意味は無いので。
お店の老板とおぼしき方が、日本人?何を探してる?と聞いてきます。
今年の杉林渓はどうですかね?と聞くと、悪くないと。
「飲んでみるかい?」と試飲を勧められました。
卸で試飲ができるのは嬉しいですね。
150gで550元の一般的な杉林渓を飲みましたが、特徴のはっきりした、なかなか良いお茶でした。
品質から考えると、普通のお店の1~2割は安い印象です。
自分の欲しい銘柄が決まっている人は、ここ、良いかも。
他に梨山はどう?と聞かれます。
梨山しきりに押してくるので、自信があるみたいです。
ならば・・・ということで梨山も試飲してみました。
割と清香系に振ったお茶でしたが、香りの清らかさといい、余韻の伸びといい、なかなか良いではないですか!
「これ、梨山のどこのお茶ですか?」と聞いたところ、
(えー、言っても分かんねーだろーなー的な感じで)「天府」と言われました。
「おー、天府農場ね」というと、「何だ、詳しいな」と。
・・・なんか、老板に気に入られたようです(笑)
基本、ここのお茶はブレンドしてないみたいです。
そして清香系が得意な印象ですね。
こちらのお店、なぜか四季春の安くて美味しいお店という認識が広まっているようですが、高山烏龍茶の方が、よりお買い得感が高い気がします。
あくまで卸の店なので、観光客向けの茶荘のように、「試飲の際にお茶菓子が出てくる」「日本語が通じる」「接客が丁寧」「パッケージが綺麗」なんてことは期待しちゃダメですが、お茶をある程度知っている方が、パパッと良いお茶を買っていくのには向いていますね。
私も試飲しながらも、20分程で2種類のお茶を買えましたし。
なお、お店の営業時間は、基本的には朝の10時頃から夜の10時頃までだそうです。
リピーターさんがご贔屓にしているのも納得でした。
富宇茶行
住所:台北市長春路490號之1
電話:02-2717-5300
営業:10:00頃~22:00頃
https://www.facebook.com/FuYuChaXing
【台湾のお茶卸について】
ひとことで卸といっても、3つのパターンがあります。
1つは、重慶北路とか迪化街近辺にある昔ながらの老舗茶荘系の卸。
この手のお店は、基本的には阿里山とか杉林渓のように、産地名を冠したお茶の販売をしません。
産地限定になると、天候不順があったときに出来・不出来がハッキリしすぎてしまうからです。
なので、基本は「高山烏龍茶」という商品名で販売します。
そして品質に応じて、1斤1000元のお茶、2000元のお茶といったランク分けをして販売します。
日本の煎茶みたいに「100gで500円、1000円、2000円、3000円とありますが、どれにしますか?」という売り方です。
こうしたお店の売りは、ブレンド技術と焙煎技術。
そして、自分の店独自の味を持っており、それを安定して供給できることです。
たとえば、阿里山が天候不順でダメだったとしても、他の産地のお茶をブレンドし、いつもの味わい近づけ、きちんと一定の品質は保つ、というわけです。
このやり方だと、消費者にとっては、煩雑な産地の名前などを覚える必要は無くなり、お店と値段を指定するだけで、いつでも大体安定した味わいのお茶を買うことができます。
その代わり、とびきり美味しいものは無くなり、平均的な味わいになります。
”日常的に”消費するようなお茶の飲み方をするのならば、これでも良いでしょう。
が、「産地ごとの個性を味わいたい」といった、お茶を”嗜好品的に”飲みたい人には、物足りません。
私、ブレンデッド・ウィスキーだけじゃ無くて、シングルモルトが飲みたいの、というニーズには応えてもらえないわけです。
この手の店で、産地の名前を指定して注文したりすると、日本語達者な店主さんから「そういうお茶の飲み方は良くない」と、お説教を食らうこともありますw
もう1つのタイプが富宇のような、産地直結型の卸です。
各産地のメーカーから、良いロットを選んで引いてきて、地元のお茶販売店に流すというもの。
基本的にブレンドはせず、やっても焙煎ぐらい。産地からの新鮮な茶葉をすぐに流します。
お茶販売店にすると、各産地の色々なメーカーとやり取りしなくても、この問屋と取引しておけばお茶が揃えられるので、楽なのです。
この手の問屋さんは、販売店さんのニーズに合うよう、さまざまなお茶を取り揃えており、産地の情報もある程度持っており、開示してくれます。
お茶を”嗜好品的に”飲みたい場合は、こういう問屋さんの方が頼りになるかなーと思います。
ただし、ブレンドしないってことは、農作物としての変動を受ける可能性が高いので、その点はリスクと言えばリスクです。
「同じお金を出したのに、いつもと味が違う。キィーーーーッ」となる人は向いてません。
「出来・不出来も含めて、それもお茶だよ。だって農作物なんだから」という、理解のあるお客さん向けですね。
そして最後に生産メーカーの直売店。
旗艦店的な小売店にしている場合もありますが、実質の卸として機能しているところも多いです。
こういうところは、自分のところのお茶をそのまま販売していますので、多少、玉石混淆なところはあります。
ただし、その分、自分たちで生産したお茶の出自に関しては詳しいです。
また、自社ブランドのお茶だけでなく、つきあいのある業者さん同士でお茶を融通していることも多いので、他産地のお茶も揃ったりします。
そのメーカーのファンであれば、こういうお店で買うのも悪くないかもしれません。
にほんブログ村
卸もいろいろ