|
カテゴリ:茶にまつわる話(歴史・文化など)
「宮廷プーアル茶とか最高等級茶葉って、何やねん」と思っている方向けの説明です。 おそらく宮廷に献上されたのはこういうお茶ではないか・・・と思われる”タイプ”のプーアル茶ですね。
民間で勝手に使っている呼び名なので、厳密な定義が無いのです(ゆえに品質にはかなりの開きがあります)。 が、発酵させるとなると話は別です。 この基準をクリアしたお茶はプーアル茶と呼んでも良いけど、それ以外はダメよ、というわけです。 ホンモノかニセモノかを判断する基準を国が提示しているわけです。 こういう基準を作って縛らないと、心ない業者が粗悪なお茶を流通させて、結局お茶のイメージをぶっ壊してしまうので。 中国茶の世界が、ここ10年ほどの間に、ものすごく変わった部分は、こうした基準の整備にあると思います。 一般的な通説に頼っていたお茶の定義を、政府がきちんと定義し始めたってことですね。 お茶の説明をしっかりしようと思ったら、今やこれらの「標準」を読み込んだ上でないとできません。 このプーアル茶の国家標準の中には、等級について記した部分もあります。 ただ、これがやや厄介でして、 ・生葉の等級 ・原料茶の等級 ・製品の等級 と、3段階に分かれており、それぞれに等級が決められています。 最終的には「製品の等級」に集約されるのですが、段階を追って見てみましょう。 <生葉の等級> まずは、生葉の等級。 生葉は、芽と葉の比率で、特級・一級~五級までの全部で6種類が定められています。 抜き出して翻訳します。 特級:一芽一葉が70%以上を占め、一芽二葉が30%以下であること。 一級:一芽二葉が70%以上を占め、同等の柔らかさの芽や葉が30%以下であること。 二級:一芽二、三葉が60%以上を占め、同等の柔らかさの芽や葉が40%以下であること。 三級:一芽二、三葉が50%以上を占め、同等の柔らかさの芽や葉が50%以下であること。 四級:一芽三、四葉が70%以上を占め、同等の柔らかさの芽や葉が30%以下であること。 五級:一芽三、四葉が50%以上を占め、同等の柔らかさの芽や葉が50%以下であること。 「同等の柔らかさの云々」という記述がありますが、これは葉っぱだけ取れちゃったとか、新芽だけとかいうのもOKということです。 特級と認められるためには、芽と葉がしっかり繋がった綺麗な形で摘みとり、揃えなければいけません。 これは、かなりの労力がかかる=高コストであるということは言えます。 <原料茶の等級> 続いて、原料茶の等級。 ここから突然、11段階になります。 特級、一級~十級まであるのですが、表に記載されているのは、1段飛ばしになっています。 間の級は、上と下の中間ということで判断の余地が残されている感じです。 等級の分類に当たって見る点は大きく分けて2つです。外観と内質です。 まず外観ですが、 「条索」・・・形や太さ 「色沢」・・・茶葉の色合い 「整砕」・・・形の整い具合 「浄度」・・・不純物(茎とか老葉とか)の有無 を見ます。 続いて内質ですが、これはいわゆる鑑定杯を使って評価します。 「香気」・・・香りの状態・パターン・持久力など 「滋味」・・・味わいの傾向 「湯色」・・・水色の色・つや 「葉底」・・・茶殻の状態。色、形、大きさ、柔らかさなど。 これらを全部チェックします。 基準には、それぞれに2文字~4文字程度の言葉が書いてあります。 これが「評語」というもので、評茶員講座を受けると、膨大なお茶サンプルをテイスティングさせられて、徹底的に叩き込まれるものです。 このような形なら「肥壮」だとか、こういう味なら「濃醇」だとか、こういう香りが「清香」だとか。 このへんの評価基準を、評茶員&評茶師が共通で揃えておかなければなければ意味が無いので。 それを覚えるのが大切なのです。 メーカーは、出荷検査の際にお茶をテイスティングし、「これは確かに国家基準○級相当のお茶です」といって、格付けをしなければいけません。 当然、基準と乖離があると大損害を負うことになる(基準に達していないお茶の販売が発覚したら、回収・買い戻しです)ので、国の定めるスタンダードが分からないと商売にならないのです。 ゆえに評茶員資格は、製造・流通をする上では、必須資格になりつつあるわけです。 話が少しずれましたが、簡単に言いますと、特級はかなり小さく芽の多いお茶で、適正に緑茶として仕上げられている(殺青などで失敗していない)、ということが言えるかと思います。 生葉の段階では様々な大きさの茶葉が混じっていたとしても、原料茶として出荷or保管する際に、大きさで篩分けをして、「特級」「二級」「六級」「八級」のように分類することもあります。 <熟茶の等級> 次に、製品の仕上がりによる等級 今回のお茶は熟茶なので、熟茶の基準を見てみましょう。
今回の「最高等級茶葉」が特級のことを指しているのであれば、「芽を使ったお茶を主体で使っていますよ」という表明をしているだけです。 キャッチコピーを翻訳すれば、「一般的な茶葉の中でも、芽を選んで使ってます」というのが結論なんじゃないかと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.10.22 17:45:20
コメント(0) | コメントを書く
[茶にまつわる話(歴史・文化など)] カテゴリの最新記事
|