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中国茶・台湾茶と旅行 あるきちのお茶・旅行日記(旧館)

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2015.01.19
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お茶好きさんの中には、美味しいお茶を作り出す茶農家さんの仕事ぶりに関心をお持ちの方もいると思います。

そんな方にピッタリの本が出ました。

チャとともに

農家になろう7 チャとともに [茶農家 村松二六]


農文協(農山漁村文化協会)が出している「農家になろう」シリーズの一冊です。

このシリーズは、将来の進路を考える子供たち向けに書かれた、写真たっぷりな絵本?といったものです。
これまで酪農家の方や養蜂家の方や果樹農家さんなど、色々な農家さんの仕事を豊富なビジュアルで紹介しています。
子供向けなので、文章も極力平易な書き方になっており、漢字には全てふりがな付きです。

で、このシリーズの7冊目で、茶農家として静岡の丸子(まりこ)紅茶の村松二六さんが紹介されています。
※以前、当ブログでご紹介した紅茶「ただにしき」の生産家の方です →記事



「なんだ日本の茶農家さんの話か」
「子供向けの絵本か」

と思った中国茶・台湾茶ファンの方、ちょっとお待ちください。

こちらの村松さん、紅茶は日本が戦前に導入していたアッサム系の品種を使って、ミルクティーに負けないような紅茶を作ろうとされている方です。
と同時に、文山包種茶など、台湾の烏龍茶の研究もかなり進められていています。
台湾系の品種なども導入していますし、製法もかなりのレベルです。

私、一度、日本の釜炒り用品種・いずみで作った包種茶を飲ませてもらったのですが、

「え、台湾でもこんなに美味しいのは、そうは無いですよ」


というぐらいハイレベルなお茶を作られています。

そういう茶農家さんのお話なので、内容も紅茶と烏龍茶の話がほとんどです。



ご存じのように、理論上は1本のお茶の木から、緑茶でも紅茶でも烏龍茶でも作ることができます。
しかし、実際はそれぞれのお茶に合う木の育て方ってのがあるんですよね。

日本の緑茶に最適化された茶園の木で烏龍茶や紅茶を作っても、残念な結果になることが多いです。

こちらのお茶がそうなっていないというのは、木の育て方から、ちょっと一工夫あるわけです。
具体的には木の整枝の方法だったり、肥料のあげ方だったりするのですが、そうしたことも緑茶のやり方と対比しながら、言及されています。


さらには気になる発酵の方法。
これについては、微妙な加減についても、ご本人の言葉で紹介されています。

たとえば、烏龍茶の発酵の時は茶葉を揺する”揺青”という工程があるわけですが、その時の動かす時の感覚ですね。
こういうの、本当は秘伝にするものなんでしょうけれども、その時のイメージをご自身の言葉で書かれています。
発酵の時の微妙な感覚を、翻訳無しにダイレクトで伝わってくるのは、非常に良いですね。

というか、こうしたことは、普通ならば秘伝中の秘伝のような気がするんですが・・・
これもお人柄だったり、後に続く人たちのためにという思いからなのか、惜しみなく紹介されています。
発酵茶を作りたい人にとっては財産みたいな本です。素晴らしすぎます。


ちなみに、子供向けに書かれた本だから、専門用語とか使わないのかな、と思ったら「整枝」とか「萎凋」とか「酵素の活性」とか、用語はバシバシ出てきますw
なので、大人が読んでも十分に勉強になるかと。

本が少し大型本で、写真も選りすぐりのものが使われているので、お茶の作り方をきちんと知る意味でも良い本なんじゃないかと思います。


個人的には、二六さんの紅茶やお茶づくりにかける思いが文章の端々から伝わってきますし、36ページと少ないページ数ながらも、書かれている言葉一つ一つに重みがあり、繰り返し何度でも読み返したくなる本です。

大人のお茶好きさんが読んでも十分満足できる本ですが、将来「この本を読んでお茶作りを志しました」なんていう人が出てくるかもしれません。

学校や地域の図書館など色々なところに置かれて、多くの人の目に触れると良いな、と思います。

※あんまり普通の本屋さんには並ばない可能性が大きいので、ネット書店か最寄りの書店で注文、もしくは出版元の農文協に直接お問い合わせが良いかもしれません。



農家になろう7 チャとともに
写真:瀬戸山 玄 農文協・編
農文協
ISBN:978-4-540-14238-3



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Last updated  2015.01.19 22:16:48
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