カテゴリ:古典芸能
●墨塗
大名:野村万之介/太郎冠者:高野和憲/女:石田幸雄 曲目で既にネタバレしているし、ここでこういう行動をとるのだろうなということも丸わかりなのに、果たしてその通りまんまと笑わされる。おそらくそういった動きやら間やら表情が絶妙なためで、まさにこれが芸というものなのだろう。とりわけ、万之介さんの表情が豊かで印象に残った。 ●武悪 武悪:野村萬斎/主:野村万作/太郎冠者:深田博治 公演前に萬斎さんが今日の曲目の解説をしてくれたが、「墨塗」がお子様ランチだとすると「武悪」は骨のある本格料理だとのこと。なるほど、たしかにお芝居ふうで劇的な曲であった。武悪の成敗を命じる主の迫力や、太郎冠者が武悪に襲い掛かる悲痛な覚悟など、前半は狂言らしからぬシリアスな緊迫感がみなぎる。だが後半は、一転して笑いの要素がたたみかけるように次々と投下される。ぐいぐい調子に乗ってくる武悪と、これに応ずる主のやりとりがたまらなく可笑しい。 今日は両親を連れていったのだけど、実はいままで狂言を見に行ったことがなかったそうだ。ところが、両親は、聞き覚えがあるフレーズがが多かったと言う。どうやら祖父や祖母がしょっちゅうこういった言い回しをしていたらしい。こういう話を聞くと、あらためて「空から謡いが降ってくる」という金沢の土地柄をしみじみと実感するのであった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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