カテゴリ:古典芸能
はじめて狂言を見に行ったのは約1年前。そのときは橋掛り脇の一番後ろの席の券をもらったのだったが、今回はフンパツして、自腹で舞台正面3列目の座席をゲットした。
今回はいろんな記念の公演らしい。 八世野村万蔵追贈 九世野村万蔵襲名披露公演 増田秋雄傘寿記念 ということで、「祝」をテーマにした三曲。 ●三番叟 三番叟:野村万蔵/面箱:炭哲男 大鼓:佃良太郎/小鼓:牧野唯士・住駒充彦・河原清/笛:吉野晴夫 万蔵さんが小気味よく舞う。喜びが全身から溢れる感じが好印象。目の前だったので迫力も満点だ。大鼓は元気でキレがあって気持ちよい。この手の音楽もいいモノだとはじめて実感した。 ただ、小鼓は終始ばらついて聞こえ、鈴の段では鈴の音が小鼓から少しずつ遅れていたのが気になった。・・・それとも、こういうものなのか? □小舞 「宇治の晒」野村虎之介(九世万蔵長男) 「住吉」野村祐丞 「小舞」というモノをはじめてナマで見た(汗)。 なんとなく、地謡の方に興味が沸く。 ●しびり 太郎冠者:野村拳之介(九世万蔵次男) 主人:増田秋雄 拳之介くんは昨年「伊呂浪」で見た。そのときはす~す~という息遣いが少々目立ったが、今回はそのようなことはなかった。増田秋雄さんは傘寿(80歳)とは思えぬ壮健ぶり。しびりが切れたと仮病を使って言い付けを拒むが、振る舞いがあると知ると治ったと言い、ならば買い物に行けと言われるとまた痛がる・・・わかりやすい筋で微笑ましく楽しんだ。 ●二人袴 聟:野村太一郎(八世万蔵長男)/親:野村萬 舅:野村祐丞/太郎冠者:野村扇丞 聟入りの日、気弱な聟は父親に付き添ってもらったところ、舅に父親も座敷に上がるよう勧められた。ところが袴はひとつしかなく、しかたなく親子で交互に穿き替えながら一人ずつ舅の前に出る羽目に。やがて両人一緒に座敷に来るよう誘われ、困った挙句、袴を二つに裂いてそれぞれ前に当てて座敷に出た。しばらくは何とかそれでしのいでいたが、舞を披露することになって、太郎冠者に見つかり赤っ恥。 とにかく爆笑の連続。聟が袴を持て余しぎこちなく歩くさまなど、太一郎くんは身体は大きいが純粋朴訥とした青年で、それがかえって世間知らずなムコどのらしかったし、何より萬さんの飄々とした感じが、訳知りのようで抜けている父親にハマっていた。舞を勧められたときに思わず親子で顔を見合わせるところなど、なんとも言えない表情は最高。太郎冠者の野村扇丞さんも間が絶妙で、達者なものだと感心した。 帰り道、少しの間だが久々に石引の並木を眺めて歩く。やや値は張ったが、いい秋の休日だったかな、と悦に入る。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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