「毎日更新」読レポ第2120 カール・ロジャーズ 「教えることとロ、学ぶことについての私見」―「学習者中心の教育法」誕生日ジ(2/4)
「毎日更新」読レポ第2120カール・ロジャーズ~カウセリングの原点~著:諸富祥彦発行:㈱KADOKWA第9章 ロジャーズの教育論 「教えることとロ、学ぶことについての私見」―「学習者中心の教育法」誕生日ジ(2/4) 何がどのようにして起きるのか。ことの顛末を見てみよう。1951年の年末から1952年初めにかけて、ロジャーズは冬季休暇で長旅に出ていた(Rogers,1957b)。「この大事な時期に、私は、冬季休暇の旅行でメキシコに行き、絵を描き、執筆をしたり写真を撮ったりしていた。そしてキルケゴールの著作を読むことに熱中していた。キルケゴールの、自らをありのままに述べようとする誠実さから、私は思った以上に大きな影響を受けたようだ」 ロジャーズは、ハーバード大学のカンファレンスで何をしようか、考えた。そうだ。「教えること」や「学ぶこと」について、自分が今感じていることを率直に語ってみよう。それをさらっと披露し、参加者の反応を見てみよう。キルケゴールを読んで、「自分は自分自身であっていいんだ」「率直に自分を語ってみたい」という気持ちが高まっていたロジャーズは、そう思い始めた。そして「学ぶこと」や「教えること」について自分が感じたままを文章にしてみた。ロジャーズはこの小論「教えることと学ぶことについての私見」(後に『オン・ピカミング・ア・パーソン』所収)について、自分の人生の中で、最も情熱を叩き込むようにして書くことができた、お気に入りの論文の一つだという(Rogers & Russell,2002)。 この小論は「キルケゴール・スタイル」で書いたのだ、とロジャーズは言う。「キルケゴールを読んでいた時に『教えることと学ぶことについての私見』という短い論文を書いていました。激しい情熱を込めた文章にすることができました。キルケゴール・スタイルにしてみました。仮にこう考えてみる、言ってみる、という姿勢(tentave nature)。『これは、自分にとっては真実であるけれど、他の多くの人にとっては真実ではないだろう』という基本姿勢。それはキルケゴールから取り入れました。それと、自分自身である勇気。この世界に一人しかいない人間でいる勇気。共鳴できるものがたくさんありました」(Rogers & Russell,2002)と著者は述べています。 ロジャーズは、デンマーク哲学者のキルケゴールの著作に出会い、勇気をもらえた。ロジャーズは、自分に誠実をもって、ハーバード大学のカンファレンスで「教えること」や「学ぶこと」について率直に語ったようだ。他人の目を気にしないでの勇気を持った。ロジャーズは、キルケゴールの著作から勇気を出して、自分自身の誠実をもって真実と思うことを表現した。 キルケゴールの著作から誠実なる勇気をもらえたようだ。 普段、思っていることを勇気をもって表現することが大事だと私も思うが、その勇気を出すには、発言を安全・安心で肯定的に受容する環境が必要だと私は思う。