三位一体モデル TRINITY 中沢新一著 ほぼ日ブックス
2006年、東京糸井重里事務所で行われた中沢新一さんの「芸術人類学研究所 青山分校」における講義第0回を一冊の本にまとめたものがこの『三位一体モデル』です。この講義はその後、7回に渡り行われたようです。ちらほらと、抽選であたる講義ということで、うわさを聞いていましたが、応募することもなく終了してしまいました。糸井さんの「ほぼ日」のwebページ上で、その講義の模様とか映像などが公開されています。講義の楽しげな雰囲気が伝わって、なかなかいいですよ。この講義のもととなる『芸術人類学』『カイエ・ソバージュ全5巻』を読むにはかなりの時間がかかりますが、この『三位一体モデル』は30分で読める究極のエッセンスということで、非常に解りやすくまた、物事を理解するのには、役に立つ内容だと思います。実際に社会に出ている方々とのセッションが楽しかったとおっしゃる中沢新一さん、この「芸術人類学研究所 青山分校」での講義は大変意義深いものだったようです。キリスト教におけるこの『三位一体モデル』は資本主義の原型でもあり、旧石器時代からある、普遍的な表現形態であるということなんですね。ただし、日本ではこの三位一体の父の部分がどうも感覚的に違って、その部分の役割は父ではなくておせっかいな「世間」であったというのも、なかなかうなずけます。そういった、いま世界に広がっているキリスト教の三位一体ではなく、普遍的な『三位一体モデル』を考え、表してみることで、多くのことがわかってくるよという、そんな呼びかけなんですね。帯にあるタモリの解説で、30分で読めますとありますが、実際に3,40分でさっと読めてしまいますのでぜひ皆様もお読みになってみてください。そして興味が沸いた方は、『芸術人類学』『カイエ・ソバージュ全5巻』をお読みになると、かなり理解が進みます。この先この講義の1から7の講義録が出版されると嬉しいのですが、ぜひ「ほぼ日」さんぜひお願いします。