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カテゴリ:映画を見ました!本を読みました!
父が昨日一日で読み切ったと私に貸してくれた。
私も一日で読んでしまった。 本当に暖かい、幸せな空気。なんて優しいんだろう。 この前に読んだ「熱月」が刺激的過ぎたから?(^^) 「博士」と「ルート」と「私」の、相手を思いやる気持ちのあふれたやり取り。 読んでいてこちらも幸せになった。 「博士」は心の底から子供を大切にする。 「私」も、記憶が持たない「博士」に合わせて生活を送る。 「ルート」もイッチョマエに、「博士」に合わせて気遣いをし、 母である「私」にも甘えたり、支えたりする。 特に私が好きだったシーンは、 料理をする「私」を「博士」が台所に来て、じっと見ているシーン。 その夕方のやわらかい光の中で、 「料理をしている君を見ているのが好きなんだ」という、博士。 ただ、お料理をしているのを見ているだけで、 描写としてもひとつひとつの作業がたんたんと書かれている。 とても官能的に思えて、一人ドキドキしてしまった。 アマゾンより↓ 「1990年の芥川賞受賞以来、1作ごとに確実に、その独自の世界観を築き上げてきた小川洋子。事故で記憶力を失った老数学者と、彼の世話をすることとなった母子とのふれあいを描いた本書は、そのひとつの到達点ともいえる作品である。現実との接点があいまいで、幻想的な登場人物を配す作風はそのままであるが、これまで著者の作品に潜んでいた漠然とした恐怖や不安の影は、本書には、いっさい見当たらない。あるのは、ただまっすぐなまでの、人生に対する悦びである。 家政婦として働く「私」は、ある春の日、年老いた元大学教師の家に派遣される。彼は優秀な数学者であったが、17年前に交通事故に遭い、それ以来、80分しか記憶を維持することができなくなったという。数字にしか興味を示さない彼とのコミュニケーションは、困難をきわめるものだった。しかし「私」の10歳になる息子との出会いをきっかけに、そのぎこちない関係に変化が訪れる。彼は、息子を笑顔で抱きしめると「ルート」と名づけ、「私」たちもいつしか彼を「博士」と呼ぶようになる。 80分間に限定された記憶、ページのあちこちに織りこまれた数式、そして江夏豊と野球カード。物語を構成するのは、ともすれば、その奇抜さばかりに目を奪われがちな要素が多い。しかし、著者の巧みな筆力は、そこから、他者へのいたわりや愛情の尊さ、すばらしさを見事に歌いあげる。博士とルートが抱き合うラストシーンにあふれるのは、人間の存在そのものにそそがれる、まばゆいばかりの祝福の光だ。3人のかけがえのない交わりは、一方で、あまりにもはかない。それだけに、博士の胸で揺れる野球カードのきらめきが、いつまでも、いつまでも心をとらえて離さない。(中島正敏) 出版社/著者からの内容紹介 記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した…。頻出する高度な数学的事実の引用が、情緒あふれる物語のトーンを静かに引き締め整える。著者最高傑作の呼び声高い1冊。 」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年10月20日 19時02分59秒
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