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2007年01月21日
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母に、「結婚ってこんなものよぉ。」と薦められたのが、
元日産社長 カルロス・ゴーンの奥様、リタが書いたこの本(^^;)

なんとリタが19歳でレバノンからフランスのリヨン大学に留学のため、
来仏した翌日、カルロスと知り合い、ラブラブに。
三ヶ月後には大学をやめ、フランスからブラジルに赴任する彼に付いていき、結婚した。

結婚って最初は特に大変なものなんだねー。
徐々に慣れていって、いや、慣れないところもあるけど、
じたばたじたばたしながら、折り合いをつけたり、歩み寄ったりして、
やっていくものなんだねー。

***以下、本から抜粋

どんなに愛し合って結婚したふたりでも、最初から足並みをそろえて二人三脚ができるわけではない。私達も結婚当初は多くのカップルのようにぎくしゃくした。
それまでの交際で相手のことをある程度知っていると思っていたはずなのに、思いがけない違いが次から次へと飛び出してくることに、私たちはガクセンとしていた。
 私たちがデートをしていたころ、夫の冷静さはとても頼もしく私の目に映ったものだ。しかし、結婚当初、私の神経にまずさわったのは、彼があらゆる状況で自分の感情をコントロールできるという、そのことだった。
 私は腹が立ったら、相手に対してはっきりとそれを伝えるタイプの人間だ。だが彼の方はもっと賢くて、怒っているとは口に出さず、不愉快だということを相手が感じ取るようにする。私は彼が感情を見せないのは無関心のあらわれだと解釈していたので、これに慣れるのは一苦労だった。

(略)

 私は爆発して怒りを解放したらそれで忘れてしまうが、夫は決して忘れない。
 20年間の結婚生活を通じて、私たちはどうしたら共に幸せに暮らせるかを学び続けてきた。今では、お互いを理解し尊敬し合い、お互いの性格や行動を受け入れることができるようになったが、最初のうちはそうすることがなかなかできなかった

(略)

 文字通り水と油。性格が正反対といってもいいほど違いの多い私たちなので、お互いのやり方に慣れるまでには長い時間がかかった。まさに私たちは”文明の衝突”だった。

(略)

カルロスは長い間、気ままな独り身生活を送っていたので、自分以外の人間と生活を分かち合う準備がまだできていなかったのだろう。いっぽう、私のほうは家族と一緒に暮らしていたからすべてが共有だ。

(略)

彼はときどき、私の乱れた秩序に我慢ができなくなる。私としてはできるだけカルロスの意に沿うように整頓しているつもりだが、なかなか彼の思い通りにはできないので、彼が神経を逆立てるのもよくわかる。でも、どうしてあそこまで苛立つのだろうか?

そうした違いをお互いに学びながら、私たちは分かち合うことを模索し続けてきた。お互いに気に入らないことがあっても、愛し合っていれば話し合いで必ず解決できる。私たちはできるだけ率直にお互いの望むことを伝え合ってきた。

(略)

夫よりも妻のほうが相手の性格や習慣を受け入れ、歩み寄りに協力することが多いというのは、世界共通の傾向だろう。夫たちは妻以上に多くの歩み寄りをしていると信じているが、それもまた世界共通の夫たちの認識なのかもしれない。

私は結婚以来、夫をハッピーにしようと願って力を尽くしてきた。だが、たとえ結婚20年を経たとしても、なかなか変われない部分はお互いにたくさんある。

(略)

私達の意見調整は20年たった今でも、脈々と続いている。

とはいえ、夫婦というチームである私たちは、出来る限り協力しお互いの相違点を尊重しようとしてきた。”違い”があることでお互いが成長し、家庭を豊かなものにすることを、日々学んできたからだ。

(略)

夫は考え方が数学的なので、いったん証明された真実はずっと真実のままだと思っている。だから、一度私を愛しているといったら、それを繰り返す必要を感じないのだ。だが、女性にとってはそれはやはりもの足りない。長年ここまで一緒にいられたのは、彼が私を愛してくれているからだとわかってはいても、ときどきはそれを証明してくれないと、本当に愛されているのかと疑問に思うのだ。

日本には「釣った魚にエサをやらない」ということわざがあるそうだが、釣った魚でも、飼おうと思うのであればエサをやる必要がある。

(略)

子供たち(長女・次女・三女・長男)に、完璧な結婚を見せるのも間違いだ。結婚生活にはいいときも悪いときもあるので、その両方を見せることで子供達は成長するし、自分たちが結婚してから、いいとき、悪いときのどちらにも備えることができるだろう。

(略)

いずれはやってくる子供たちの結婚にまで思いが飛んでしまった。私が彼らのパートナーについて考えるときに重視するのは、おたがいがに多くの共通点があることだ。子育ての心労や困難を経験したり、人生の苦難や老いに直面したとき、結婚相手と自分に共有できるものがなければ、挫折感をもつだけだからだ。

(略)

夫婦は一緒に育っていくものだと私は思う。私がこれから結婚する人にアドバイスすることがあるとしたら、それは「自分の夫(妻)はこういう人であるべきである」という固定観念やイメージをもたないことだ。そんな理想に当てはまる人などどこにも存在しないのだから。

「完璧な夫(妻)」を求めるのであれば、結婚などすべきではないと私は思う。結婚というのはある意味では、気の遠くなるほどの時間と感情を使った長期的な投資だ。個性も、育った環境や文化的背景も違うふたりがお互いに歩み寄って解決方法を探し、一緒に成長しながらふたりの関係を築き、一家の未来の土台を創り上げていくのが結婚というものだろう。

今日の社会では、多くのカップルが結婚を成功させようとする努力をしなくなっている。簡単に離婚ができるので、結婚が思うようにいかないと努力しようとするのをあきらめて、あっさりと別れてしまうのだ。

結婚生活はたしかに困難と挑戦の連続だ。お互いの個性が強ければ強いほど、その困難も増すだろう。意見の違いは日常的にあるし誤解もある。お互いの自己主張が強すぎることもあれば、理解が足りないこともある。嫁姑の関係など、ほかからの要素が入ってきてふたりの関係が最悪になるようなことも、多くの夫婦が体験している。

多くの妻たちの例にもれず、私も何度か離婚を考えたことがある。その最大の危機は、日本に移り住んだばかりのころだった。日産の再生に賭ける夫は殺人的な忙しさに追われ、私はなれない日本での生活に悪戦苦闘していた。夫とその問題を話すこともできないので、孤独を感じてゆきづまっていた。

私は夫を残してフランスに戻ろうというところまで追い詰められていた。ベストは尽くしたけれど、私だって人間だもの、限界がある。「離婚」の文字が何度も頭をよぎり、それから自分の気持ちを落ち着かせるために優先順位を考え始めた。私にとっての最優先は子供達だった。

(略)

夫婦間の問題は、実は以前から未解決のままにしてきた問題を引きずっていることが多い。

こういった問題は何らかの形で解決しておかないと、長く尾を引き、やがては離婚ということにもつながっていきかねない。夫のほうは妻が決して離婚しないと思っているらしいが、これは男性の考え方。だがこうした危機を乗り越えることが結婚を強くする方法だ。というわけで、幸いにも私たちはいまだに夫婦のままでいる。

(略)

何度も言うようだが、完全なカップルなどありえない。夫婦が決して同意しない点だってある。夫婦は10年、20年と一緒にいるのだから、さまざまなことがお互いの気に障って当たり前、ということを、子供達も理解してくれるはずだ。

(略)

妻はある意味では、自分を忘れて夫をサポートすることがある。男性は結婚生活に妻のそうした献身を期待しているが、夫が妻をサポートするために「自分を忘れる」ことはあまりない。女性が結婚して、夫婦間はすべてがフィフティ・フィフティだと思ったら、失望するだろう。50パーセントのサポートが夫から得られたなら、その女性はラッキーだと思う。

 (略)

時にはムッと来ることもあるけれど、私は笑ってやり過ごす。

(略)

ところが最初は奇異に見えるものも、慣れるとそれがだんだん心の中に入ってきて、存在が大きくなる。いろんな人と親しくなっていくうちに、彼らの懐の広さや、豊かなその文化に心惹かれていく自分にだんだん気づいていく。







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最終更新日  2007年01月21日 23時08分16秒
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