「最後だとわかっていたなら」
「最後だとわかっていたなら」作・ノーマ コーネット マレック / 訳・佐川 睦あなたが眠りにつくのを見るのが最後だとわかっていたらわたしは もっとちゃんとカバーをかけて神様にその魂を守ってくださるように祈っただろうあなたがドアを出て行くのを見るのが最後だとわかっていたらわたしは あなたを抱きしめて キスをしてそしてまたもう一度呼び寄せて 抱きしめただろうあなたが喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが最後だとわかっていたらわたしは その一部始終をビデオにとって毎日繰り返し見ただろうあなたは言わなくても 分かってくれていたかもしれないけれど最後だとわかっていたなら一言だけでもいい・・・「あなたを愛してる」とわたしは 伝えただろうたしかにいつも明日はやってくるでももしそれがわたしの勘違いで今日で全てが終わるのだとしたら、わたしは 今日どんなにあなたを愛しているか 伝えたいそして私達は 忘れないようにしたい若い人にも 年老いた人にも 明日は誰にも約束されていないのだということを愛する人を抱きしめるのは今日が最後になるかもしれないことを明日が来るのを待っているなら今日でもいいはずもし明日がこないとしたらあなたは今日を後悔するだろうから微笑みや 抱擁や キスをするための ほんのちょっとの時間を どうして惜しんだのかと忙しさを理由にその人の最後の願いとなってしまったことをどうしてしてあげられなかったのかとだから 今日 あなたの大切な人たちをしっかりと抱きしめようそして その人を愛していることいつでも いつまでも大切な存在だと言うことをそっと伝えよう「ごめんね」や「許してね」や「ありがとう」や「気にしないで」を伝える時を持とうそうすれば もし明日が来ないとしてもあなたは今日を後悔しないだろうから『最後だとわかっていたなら』(サンクチュアリ出版)より