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平凡すぎる日常がいいネ

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2007年02月08日
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鈴置洋孝プロデュース「煙が目にしみる」という芝居を観に行ってきました。

小劇場とかによく行く人なら,このタイトルを見たことがあるという人も多々いると思います。
多分,鈴置氏がこの世に残した最高の作品の1つではないかと思っています。

桜が満開になった春。
関東近郊の小さな町の斎場。
これから,野々村家と北見
家の火葬が執り行われるところ。
誰もいない待合室に、二人の白装束の男が現れる。
野々村浩介と北見栄治だ。
あの世へ旅立つ前に初めて顔を合わせた二人は,どちらからともなくお互いの身に付けているものをチェックしたりしている。

野々村家の遺族は,未亡人になった礼子と娘の早紀,治介の母で少しポケがきている桂,そして親族達。
北見家は娘の幸恵とたった一人の参列者,レンタルビデオ店長の牧だけである。

やがて最後のお別れが済み,棺は静かに炉の中ヘ。
小一時間程後,焼け焦げた白装束の浩介と栄治が走り込んでくる。
袖からシケモクを出して一服しながら,それぞれの家族の思い出話を始める。妻から子供たち,そして両親のこと。
そこへ浩介の母の桂がやって来る。
自分の姿が見えないはずの母親に,先立つ不孝を詫びる。
「ごめんな,おふくろ。俺の方が先にいっちまって……長生きしてくれよ。」と、浩介は泣きくずれる。

その浩介に向かって桂は,はっきりした声で言い返す。
「何言ってんだい。あたしゃ,まだまだ死なないよ。それより,どうしてお前は焼け焦げた浴衣なんか着てんだ?」
「俺は死んじゃったんだよ。」
「そうだったの?」
「おふくろは、お通夜もお葬式も出てたじゃないか。」
「な~んだ,お前の葬式だったのか。誰のだかわかんなかったんだよ。」

半分幽霊になった息子と,半分ボケた母親の,世にも奇妙な会話が続いていく。

そしてその母親を通じて,遺した者と遺される者たちとの,本当の気持ちが交錯して,様々な真実が明らかになっていく。


今回は追悼公演ということもあり,クライマックスではあちこちからすすり泣く声が。
そういう私も例外ではなかったのですが…

未亡人となった令子が叫ぶシーン…

「バカヤロー! 何で先に死んじゃうんだよー! アタシ寂しいよお!」

多分,観に来ていた人の鈴置氏への叫びと一緒でしょう。
生きていたらきっと,まだまだ後世に残る名作を作っていけたのに。

遺作が9月に上演されることになったので,こちらも絶対に観に行きます!






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最終更新日  2007年02月09日 13時02分12秒
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