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カテゴリ:医療全般
2004年から導入された新研修医制度が医師不足対策のために2年から1年に短縮されるもよう。↓
http://mainichi.jp/select/science/news/20081218k0000m040133000c.html そもそも発足前から「昔失敗したインターン制度を給料付でやり直したところでうまくいくはずが無い」とも言われていた制度である。強制力をもった到達目標も無く、指導者の責任も曖昧な状態でいろんな科を回ったところで身につくものが少ないことはわかっていたことである。例えば2ヶ月間産婦人科を回ったとして、産婦人科のプライマリケアができるはずも無い。 我々の研修医の時代は直接専門の科に入った上で、先輩から丁稚奉公よろしくみっちりとしごかれて早く仕事を憶えたものだが、教える側に「お前が早く憶えてくれんといつまでもこっちが楽にならんからな」という強力な動機があったのである。自分が早く楽になりたいから真剣に教えるのである。こっちも早く一人前と認められたいから必死だった。 私の場合なおかつ研修期間中に半年ずつ麻酔科と外科のローテーションが必須だったためここでもかなり鍛えられた。半年あれば最初の2ヶ月ぐらいで指導医はある程度のことを教えて、残り4ヶ月はいくらか自分が楽できるのである。 そして5年も経つと今度は自分が楽になりたいから研修医をみっちり教えるというわけである。新米医師の指導は正にギブアンドテイクだったと思う。 新研修制度の下では1~2ヶ月(産婦人科は長くて2ヶ月の研修しかない)で去っていく新米医師に本腰入れて指導するだけのインセンティブがこちら側には何も無い。広い知識を持った医師の養成など正に絵に描いた餅である。 しかしそれにしても・・・・医師不足対策のために研修期間を1年に短縮するとは、何と場当たり的な考えだろう。そんなにあっさり短縮できるのであれば最初から2年などと決める必要は無かったし、そもそも新研修医制度自体がその程度のことで変更可能な中身のないものであったことを自ら露呈したようなものである。 医師不足のため研修の内容や到達度を評価することなく2年から1年に短縮して、中途半端な研修医を実戦配備しようというのだから、中長期的な展望は無いに等しい。 失敗した新研修医制度に対する責任を誰が取るでもなく、さらにその研修すら短縮して医師不足を凌ごうとするええかげんな国の方針。それに左右される若い医師。なんか先が見えて来ないなー お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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