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カテゴリ:医療全般
私の勤める病院は平成21年度は黒字でした。
その理由は、保険点数の改正によるところが大きくて、我々の医療行為そのものが変わったというわけではありません。 医療においては、サービスの価格が全面的に国によって規定されます。 ハイリスク妊娠の管理、治療や、帝王切開などに対する保険点数が上がり、その分病院の収入が増えただけのことです。国が保険点数を上げてくれた理由は、産科や小児科の救急疾患の受け入れ先が減少している現実に鑑み、経済的なインセンティブを与えないとマズいだろうという思惑からです。 さらにうがった味方をすれば、自民党→民主党という政権交代の中にあって、これは政権の人気取り政策としての一面も見え隠れします。(妊婦健診料をほぼ無料にしたのは麻生政権でしたし、分娩手当一時金の支給額を引き上げたのは民主党です。) また言い方を変えれば今までが不当に安い価格設定を余儀なくされてきたわけで、ようやく時代の波に押されて国側が我々の仕事にいくらかでも正当な評価をせざるを得なくなったという一面もあります。 もちろん黒字になることはありがたいですが、生かすも殺すも国の思惑次第という現実を前に、病院の場合経営努力などという言葉が意味を持つのかどうか疑問に思えてきます。 このように国が恣意的に決めることができる保険点数は、逆にいつでも一方的に下げることも可能で、「医療費は抑制すべきもの」がデフォルト設定になっている厚労省にあってはいつまた変更されるかわかりません。実際今年の4月になって突然、切迫早産に対する胎児心拍モニタリング検査(NST)が一斉に査定される(つまり行った検査に対してお金が支払われなくなる)という珍事がおきました。さすがにあまりの理不尽さに各地からブーイングが出て、訂正されたようですが。 政治には正直なところ興味がありませんが、日本のようにコロコロと総理大臣が変わり、閣僚も変わるという国では50年、100年先を見据えた政策を期待するのは無理なのでしょうか。しかし、教育、医療、防衛については長い目で見て考えてくれる政治家がもう少しいてほしいものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.10.03 01:18:57
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