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B.C.B.G.な暮らし

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2007.11.27
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カテゴリ:本・映画・展覧会


古い修道院が取り壊される際に、
床下の納骨堂から22メートルもの長い髪を持つ少女の頭蓋骨が掘り出される。
それは200年前、狂犬病により悪霊が取り付いたとされる、
12歳の侯爵令嬢「シエルバ・マリア」のものだった・・・


魅力的な導入部で始まる、ガルシアマルケスの作品を読みました。

リアルな描写と豊かな幻想性。

植民地や奴隷貿易時代のラテン・アメリカ。

読み始めると

読むとこの世ではないどこか、
土と人の匂い、湿度と熱気のあるどこか

へ連れて行かれます。

この作品の一番の謎はそのタイトル

原題は「Del amor y otros demonios」

「愛」も「悪霊」のひとつなのでしょうか。


未知のものを恐れるキリスト教徒にとっての異文化、
黒人風俗、言葉が、悪霊なのでしょうか。
シエルバに惹かれていく神父カエターノの性的な欲求なのでしょうか。

この中でシエルバ・マリアが、

「愛はすべてを可能にするというのは本当なのか」

と聞き、父親が

「本当だよ」

「でも信じないでおいた方がいいかもしれない」

と答える場面があります。

物語の中で、愛は救いになっているのでしょうか。

シエルバは狂犬病でも悪霊に取り付かれていた訳でもなく、
周囲の人間の無知、無理解、恐れ、自己偏愛、
そういったシエルバを取り巻く全てのものが悪霊だった
のでは、ないか。。。?


どこまで行っても、人の無理解は尽きる事がありません。

やりきれないくらい切なく、悲しいです。




読んでいると、時間の感覚が狂ってきます。

この修道院の中での出来事の数々や神父との切ない恋に至る過程、
それは2ヵ月に満たない月日なのですが、
2年にも3年にも、もしかしたら5年にも10年にも相当するほどの量感があります。

客観的か物理的か数量的かの時間は、意味をなさないのでしょうね。


この物語の豊饒さを前にして、自分の言葉の陳腐さが情けなくなりますわ。

本のお話。ここまで。








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Last updated  2007.11.27 16:57:13
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