カテゴリ:日本と中国の関係
反日運動の影響は、ウチの会社にも直接的影響を与えています。北京での反日デモの報道を受けて、中国で広告活動を行っている多くの日本ブランドが広告活動の中止や延期という対応を取り始めました。
短期的には、5月上旬までのテレビや新聞などの製品広告をスグにでも中止する、と言う対応が主流です。私自身、広告会社の経営を委ねられている立場でありながら、日本のクライアントには昨年の段階から「2005年は派手なことは止めておきましょう」とご提案しており、非日本企業のクライアントの比重を高める対策を採っていたので、"想定の範囲内"ではあるのですが、実作業面では影響があります。 そもそも、テレビ局や新聞社に既に申込み済みの広告を引き上げるのですから、媒体社は黙っていません。日本だったら、企業が不祥事などで広告をキャンセルする場合、「事情を理解してますから、スグにでも放送をストップしましょう。キャンセル料なんて要りません。いつか、またお返ししてもらえれば。」といった対応をテレビ局などがしてくれるのですが、中国の媒体社はキチンとキャンセル料を求めてきます。「日本の広告主は、大して広告を出すわけでもないのに、あれこれ細かい要求が多い。広告を取りやめるのはそちら(日本企業側)の事情なのだから、きちんとキャンセル料を払いなさい」と言う感じです。日本のクライアントは、「中止ではなく延期」という立場でキャンセル料の支払いを拒もうとしますから、間を取り持つウチのスタッフも苦労します。中国の関係者一堂、益々反日気分になっていく様子です。 さて今週末、上海市で反日デモが呼び掛けられていることが各方面で放送されています。外灘と人民広場が集合場所で、南京路沿いに虹橋の日本領事館に向かうコースが想定されます。 上海市での反日デモに関して、きのう(4月13日)上海市政府の報道官(きれいな女性でした)は、「デモや集会には申請が必要で、上海市としては書面による申請を受け取っていない」と言う発言をしました(NIKKEI NET)。また、上海で日本人留学生が殴打された事件についても、上海の公安当局が容疑者を逮捕したことも発表しています(NIKKEI NET)。さらに、上海のデモへの集結を呼び掛けるサイトがアク禁になった、との報道もあります。 一方、中国の中央政府は、昨日あたりから温家宝首相の訪問先インドでの発言を引用する形で"反日行動"発生の事実を認めるような報道を一部許可し始めているようです(Asahi.comなど)。つまり、日本との更なる関係悪化よりも中国の多数派の"民意"を"尊重"する姿勢を示しているように思えるのです。 経済中心の国際都市・上海市とその周辺エリアは、日本企業の格好の投資先になっており、日本企業は多数の雇用を創出し、きちんと納税してくれる、最大級の"お得意様"です。もちろん、日本企業以外の外国企業の経済活動も上海エリア中心に行われており、反日運動の激化により日本人や日本企業が被害を受けたり、日本企業が引き上げたりすれば、上海市が受けるダメージはかなり深刻です。 これは、中国全体においても言えることなのですが、中央政府=北京はどうしても政治優先になります。反日運動への弱腰姿勢が政権批判に転嫁されていくことを恐れる中央政府は、上海市政府のような経済優先の"割り切った"対応をできないのでしょう。 上海で大規模な反日デモが発生するかどうかは、予断を許さない状況です。ただ、中央政府と上海市政府の"足並みの乱れ"があるのは事実だと思います。反日運動のビジネスへの影響を最小化するための施策のヒントが、このあたりに隠されているような気もするのですが.... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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