カテゴリ:危機管理・PRとメディア
久々の北京で中国中央電視台(CCTV)の5チャンネル(スポーツ専門チャンネル)のスポーツニュースをぼーっと視ていたのですが、驚いたことに、本編からCMに入る前のフィラー(次のコーナーの紹介を兼ねた画面)の右下に、「この後のCMは1分09秒です」と言うテロップが入っていました。
中国のテレビ放送のCMブレイクは日本と比べると一般にかなり長めです。3分のときもありますし、15分のときもあります。CCTVの主要チャンネルや主要都市テレビ局のメイン・チャンネルのゴールデンタイムであれば、著名ブランドの見栄えのするCMもたくさん流れますが、そうでないチャンネルや時間帯では、ローカルの健康食品やダイエット器具、下半身系の薬品の下品っぽいCMがこれでもかこれでもかと続き、時には10分や15分のテレビショッピング番組が突然始まったりするので、多くの視聴者には評判がよろしくありません。ゴールデンタイムであったも、15分間のCMブレイクの間に、視聴率はCM開始直前の10分の1まで下がってしまうことがあるのです。CMブレイクはまさにトイレタイムかザッピングの時間になっているわけです。 こうした状況の中で、視聴者にCMブレイクの時間をお知らせすることは、「トイレに行ったり他のチャンネルをつまみ視するのはいまのうちだよ、その代わりCMが明けたら、このチャンネルに戻ってきてね」と言っているようなものです(と広告に従事している人々は思ってしまうのではないでしょうか)。 広告主や広告会社は怒ったりしないのでしょうか??(番組と番組の間のCMブレイクの大体の長さについては事前に表示するテレビ局は以前からありました) 日本のテレビのCMブレイクは中国ほど長くありませんし、視聴者側でもある程度、時間が読めるようになっています。番組の中だったら60秒か90秒、番組と番組の間であっても3分間CMが続くことはほとんど無いということを、日本の視聴者は体験的に知っているように思えます。それでも、クライマックス直前でCMが入ってしまうドラマやバラエティー番組などで、次のCMブレイクが60秒なのか90秒なのかCM前にお知らせしてくれたら、視聴者にとってはかなり便利ではないでしょうか。60秒だったらお風呂のお湯を張りに行くとか、90秒だったらちょっとした洗い物を済ませてしまうとかできるわけです。久米宏さんが『ニュースステーション』をやっていた頃、「この後60秒CM行きます」などと頻繁に言っていました。 視聴者にはちょっと便利かもしれませんが、広告主や広告会社にとってはありがたくない話です。 CMブレイクが一定の長さではなく、しかも長めの中国のテレビ視聴者にとって、「この後のCMは○分○○秒です」と言う情報はたいへん便利だと思います。CCTV5チャンネルが、視聴者の利便のために行っているとすれば、たいしたものだと思います。 テレビの広告メディアとしての価値は、こうしてどんどん小さくなっていくのでしょうか....? 後日談。 CCTV関係者にこの件を尋ねてみると、視聴者にCMを楽しく視てもらう為にこうしたらしい。「次のコーナーは60秒後です」って言い方なら、その間のCMブレイクは視なくてもいいように受け取られるかもしれないけど、「この後は60秒CMです」って言い方なら、CMを売り込んでいることになる、という"言い訳"。 ついでに、も一つ驚いたこと。中国中央電視台(CCTV)にゴルフ・テニスの専門チャンネルができるようです。CCTVでバンバン予告CMを流してました。いちおう共産主義国家の国営テレビ局が、ブルジョア・スポーツの代表格とも言われたゴルフとテニスの専門チャンネルを始めるなんて、さずがは中国と、改めて感動してしまいました....。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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