テーマ:読書(8561)
カテゴリ:本
☆ブレイズメス1990・海堂尊 ・2010年7月15日 第1刷発行 ・講談社 ☆スリジエセンター 1991・海堂尊 ・2012年10月24日 第1刷発行 ・講談社 「ブラックペアン1988」は、世良雅志の研修医1年目のころを描いた作品。登場する天才外科医は、渡海征司郎。シリーズ最初の作品。 「ブレイズメス1998」、「スリジエセンター 1991」は、「ブラックペアン1988」の続編。この2作品に登場する天才外科医は、天城雪彦に代わる。 タイトルの「スリジエセンター(スリジエ・ハートセンター)」とは、天城雪彦が設立を目指す心臓手術専門病院の名称。スリジエ(cerisier)は、フランス語で桜の意味。 【あらすじ】 国際学会に出席する垣谷講師に同行してニース(フランス)に降り立った世良。彼は院長の佐伯から、学会に出席する心臓外科医・天城雪彦にメッセージを届けるという特命を帯びていた。 学会での発表をドタキャンした天城を探しに、彼がいると言うモナコ公国のカジノに向かう世良。メッセージは佐伯の構想である心臓手術専門の病院建設のため、天城を招聘する旨のものだった。天城の高度な手術を実際に目にした世良は、佐伯の特命を果たすため、天城とのギャンブルの末に天城を説得することに成功する。 帰国後、天城は佐伯の要望を受け入れ、心臓手術専門の病院の設立を目指す。天城は世良に、彼が理想とする「スリジエ・ハートセンター」の構想を熱く語る。だが手術を受けるためには、患者に財産の半分を賭けさせると言う天城の考え方は、東城大学医学部の教授たちには受け入れられないものだった。 高階をはじめとする医師や教授達と険悪な雰囲気となるも、佐伯の命で天城の身の回りの世話役となった世良は、彼の1番の理解者だった。 さらに天城は次なる大きな一手を仕掛けるため、自らが確立した術式である“ダイレクト・アナストモーシス”を東京国際学会での公開手術で披露することを宣言する。 自身を快く思わない反対分子を抑え込んだ末に、東城大学医学部の運命を賭けた公開手術が始まった。新病院建設のための資金を得るためと信じて、逆風のなかでも高難度の公開手術も受け入れてきた天城だった。公開手術は大成功を収めたが、彼は身も心も疲れ果てていた。 目指す病院改革に、猛反対する高階はじめ教授人との権力争いに、佐伯は敗れ、病院長の座を失った。 天城の天才的な技術は、周囲とかけ離れた高みに昇りつめすぎてしまった。周囲から乖離し、患者とさえ切り離されてしまっている。 「いま私の意志は流れに逆らっている。だから、私の願いは、多分叶わないんだろう。ジュノ(*)私は疲れてしまったんだ」 天城は日本を去った。 「辞職願い」の文字を見た高梨講師の「何故だ」と問いに、世良は「天城先生を追い出したからです」とキッパリ答え、それきり高階の前から姿を消した。 天城を追ってモナコに向かった世良を待っていたのは、天城の死という衝撃の事実だった。 (*ジュノ=フランス語で「青二才」のこと) ・・・・・・・・・・・・・・ 登場人物 ♣︎世良雅志 東城大学医学部附属病院 研修医。 1988年5月、国家試験の合格発表の前に世良の外科研修はスタートした。現在は東城大学医学部付属病院総合外科学教室(通称・佐伯外科)の外科医3年目の研修医。前作の後、約1年半の外部研修の末に佐伯外科に戻った。高階がいる腹部外科グループに身を置いているが、佐伯からの特命により、天城雪彦を日本に連れ戻すべく、国際学会に参加する垣谷講師に同行、ニース(フランス)に向かった。 密命は、佐伯の構想である心臓手術専門の病院建設のため総合外科学教室に天城を招聘すると言うものだった。 天城を連れ戻すまで日本に帰れない。 天城がいると言うモナコのカジノに向かった世良は、天城との賭けに勝ち天城と共に帰国。天城の身の回りの世話役として天城の行動に深く関わっていくことになる。 ♣︎天城雪彦 モナコ公国のモンテカルロ・ハートセンターで外科部長を務める心臓外科医。患者を選ぶにも金を重点に置く拝金主義の考えを打ち出しており、一見、倫理に反する言動から周囲の反感を買う。 モナコでは患者の全財産の半分をギャンブルに賭けさせ、運の良さを見極めるというやり方で患者を選定している。世良をジュノ(青二才)と呼ぶ。ダイレクト・アナストモーシスという自分にしか出来ない高度な技術を確立し、それにより一人の患者も死なせていないことから王室より「モンテカルロのエトワール」の称号を得ている。 ♣︎佐伯清剛 東城大学医学部付属病院院長であり、総合外科学教室教授。総合外科学教室は次々と専門に分かれて分派したが、それも未来を見据え容認している。 ♣︎高階権太 医学部総合外科学教室助手。前職は帝華大学第一外科教室助手、米国マサチューセッツ医科大留学後、東城大学医学部総合外科教室講師となる。 佐伯外科の腹部外科グループ講師。食道自動吻合器「スナイプAZ1988」を引き提げて帝華大学からやってきた。患者を救うことに重きをおくため、金を物差しに語る天城に反発するが、天城が語りかける言葉に圧倒されてしまう。 ☆読後感 テレビドラマ、「ブラックペアン」に続き、現在「ブラックペアン シーズン2」が放送されています。 一連の小説を読んだのはずいぶん前のこと。最後はどう言う結末になったのか記憶がありあやふやで、ブラックペアンに続き、続編を読み直しました。 ドラマと違い、原作は研修医の世良雅志が主人公です。原作では、最後に天城雪彦だけでなく、主人公の世良まで病院を去ります。結末がどうにもスッキリせず、世良が登場する作品を探し出しました。続編ではありませんが、「極北クレイマー」と「極北ラプソディ」に、世良の名前をみつけ、借りてきました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.09.26 14:43:49
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