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カテゴリ:旅行生活
「でた、美人局(つつもたせ)」の巻
ロックガーデンの中を延々と歩いている途中、自称アメリカ人というオネエちゃん(推定25才)に声をかけられた。話す英語はやたら流暢でネイティブ並みなのだが、しかし「どう見てもあんた、インド人かネパール人やろ」という外見。しかも可愛くないんだこれが。ピッタリ真横にマンツーマンディフェンスのような密着体勢で、同じ歩調で歩きながらあれこれ話しかけてくる。 「ハロー、わたしアメリカ人」(初対面でそんなこと言う奴おらんやろ普通) 「チャンディーガルには旅行で来てるのよ」(あ、そうなんですか、ふーん) 「あなたはいつまでチャンディーガルにいるの?」(さぁどうしようかなぁ) 「あなたは友達と来てるの?」(ひとりだけど) 「あら偶然ね!わたしも一人なの」(あーそうですか、へー、それはそれは) こういう流れになると、この先の展開は読めている。「どこに泊まってるの?」(この近くだけど)「あら私もそうなの。よかったら私の部屋でゆっくりお話しない?」(いくいく)・・・とか言って喜んで部屋に入り、いい感じのムードになったところで、突然怖いお兄さんが出てきて「おのれワシの嫁さんに何さらしとんじゃい、金出さんかゴルァ」と。これってかつてのタイで遭遇した美人局(つつもたせ)と、まったく同じパターンやがな。勘弁してくれよ。しかし、もしも万が一本当にただの話好きの旅行者だったらまずいので「キミはっきり言ってタイプじゃないからあっち行ってくれる?」などと鬼のような追い払い方もできず、「あの、急いでるもんで」とゴニョゴニョ言いつつ、歩くスピードを通常の1.8倍程度に加速しながら必死で引き離し、ついに振り切り成功。と思ったのも束の間、彼女を巻いたのはいいが今度は広すぎるロックガーデンの中で道に迷ってしまい、灼熱の炎天下を意味なくぐるぐる彷徨い続け、ようやく出口に辿りついたのはそれからさらに1時間後であった。暑いよ。 ロックガーデンに続き、次に行ったのが「ローズガーデン」。岩の次は薔薇である。ここもツーリストオフィスで一応見るべしと言われていたのだが、こっちはロックガーデンのような趣向を凝らした作りにはなっておらず、スケールは大きいが、ただただ広大な芝生の庭があるだけで、肝心のバラは申し訳程度に所々チョロチョロ咲いているだけ。しかも日陰が一切なく、すでにロックガーデンで予想以上に体力を使ってしまったので、ここは早々に撤退。暑い暑い。汗まみれ。 もう帰っても良かったのだが、リクシャーマンに訊くと近くにパンジャーブ大学があるというので、ちょっとだけキャンパスに潜入してみる。広い校内をオートリクシャーで優雅に走り回りながら芝生やベンチにたむろする学生達に手を振り、最後に学生の溜まり場になっている「学生会館」に行く。これはコルビュジエの作ではないが、チャンディーガルの建築の見所のひとつとしてあげられている。円柱形の建物の外周を螺旋階段が巡るという作りになっていて、見た目は昔のロシアSF映画のセットみたいでなかなか味わいがある。それにしても暑い暑い。 2日間に渡るチャンディーガル見物も、今回はこのぐらいで勘弁しといたろかということで、夕焼空を背に引き上げる。宿に戻って食堂に駆け込み、ビールビールビールをくださいと頼み、食事の後はもう早々に寝る。・・・つもりだったのだが、シャワーを浴びてちょっとベッドでウトウトしていると、突如「どかーん!」とブリキのバケツでも蹴っ飛ばしたような馬鹿でかい音がしてびっくりして飛び起きる。夢かと思ったら再び「どっかーん!どっかーん!」とさらに音は激しくなる。 たまらず外に飛び出すと、宿の敷地内で何かお祭りが始まっていて、すんごい数の人が集まって太鼓やラッパを打ち鳴らして大騒ぎしている。聞くと、この日はインドの神様クリシュナの誕生祭だそうで、インド全土で大騒ぎなのだそうである。そうかそうか、それはよかっためでたいね、と周囲の人々と祝福の握手を交わしながらも、疲れたワタシはとっとと部屋に戻る。が、ちょっとウトウトすると「どっかーん!」。あ、そろそろ終わったかな、と思ったら「どんがらがっしゃーん!ぷぺぷぺぽぴぴー!」と、どんちゃん騒ぎは明け方まで続くのであった。<続> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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