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2007年09月12日
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カテゴリ:旅行生活

「インド亜大陸大移動の夜」の巻

昨夜、宿にチェックインした時に「バラナシにはいつまでいるんだ?」と訊かれたので「24hours」と答えると、「短かっ!」とあきれられたのだが、短時間ながらも濃厚に凝縮したバラナシを十分堪能したワタシは、予告どおり夕方が近づく遅めの午後、潔くバラナシを去る。狂気の大混雑ゴドウリヤー交差点からリクシャーに飛び乗り、昨日来たばかりの道を空港に向かって逆戻りである。

デリー行きのスパイスジェットは、またしても「DELAYED」。腹の具合も悪くなってきて、何度かトイレを出たり入ったりしながら待合室でひたすらアナウンスを待った後、1時間半近く遅れてやっと搭乗。上空から見納めのバラナシは全体的に重く雲が立ち込める中、ほんの一瞬だけ雲の切れ間から陽光が差し込み、下界の混沌を最後に少し照らして見せた。
ガラガラの飛行機は順調に遅れながらこの旅3度目のデリーに到着し、ワタシを含む数名を機内に残してほとんどの客が降りた。デリーでの機内清掃とセキュリティチェックが終わると、入れ替わりに今度は超満員の乗客がドッと乗ってきて、さらに30分遅れ(予定より通算2時間遅れ)で、飛行機は次なる目的地「ムンバイ」へと飛び立った。

ムンバイ空港に到着したのは、もう夜の9時。バラナシ→デリー→ムンバイの移動で、さすがに疲れていた。しかし今度は、機内預かりの荷物がなかなか出てこない。実は少し焦っていた。今夜の移動はまだこれで終りではない。これから、さらに1時間かけて市内の鉄道駅「ムンバイCST駅」まで行き、1時間半後に出発する夜行列車に乗る予定なのだ。気がかりなネタはもうひとつあって、昨日から両替のタイミングを逃したまま、手持ちの現金がほとんど底をつきかけていた。
再び腹痛が襲ってきたので空港のトイレに駆け込み、戻ってみるとようやくターンテーブルに自分の荷物が出てきており、それを引っつかむと足早に空港の外に出た。

市内までの移動はタクシーしかないと聞いていたのでタクシー乗り場を探すが、空港前は人でごった返していてどこで拾えば良いのかすらわからない。丁度そこへ「タクシーか?」と白いシャツの男が訊いてくる。そうだと答えると「ついて来い」と言う。歩きながら「メータータクシーだろうな?」と訊くと「心配するな」と言うので、とにかくついて行く。空港から数百m離れた暗い路地に入ったところに、運転手の乗ったクルマが1台停まっている。乗れというので後部座席に座ると、白シャツは助手席に乗り、運転手と早口で何か話した後、いきなりクルマを走らせる。「おいちょっと待てよ。これメータータクシーじゃないな。話が違うぞ。」とワタシが言うと、白シャツは「これを見ろ」と、何やら料金表を手渡してきた。見ると、ワタシの目的地付近までの料金が、どう考えても相場の倍以上の値段で書かれている。

移動の疲れ+時間の焦り+腹具合の悪さ+持ち金の少なさという4つの悪条件が重なったせいか、さすがに仏の心斎橋さんもそれを見た瞬間、考えるより先に足が出た。白シャツの座る助手席を、真後ろから思い切り蹴り上げていた。「あほかコラ、停めろ!」思わず口から出たのは、ストレートの関西弁であった。運転手がびっくりして、クルマを急停止。「お前なめんとのか!空港戻れ。」と、引き続き生の関西弁で怒鳴る。当然彼らに意味なんかわかっていないが、こちらを振り返る白シャツの顔が明らかにこわばっている。(あ、効いてる効いてる)。怒っているのは十分伝わっている。そこで言葉を改め、「空港に戻って、ポリスのとこまで行こうか」と言うと、「待て!いくらだったらOKだ?」と白シャツが訊いてくる。「その半額。それが相場だろ。」と言うと、 「わかったわかった、それでいい」と、拍子抜けするほどあっさり交渉成立する。

金を渡すと客引きの白シャツだけが先に降り、ようやく運転手とワタシの乗るクルマはムンバイ駅に向かって走り出すが、こちらの焦りとは裏腹に、すぐに大渋滞にハマってしまう。じりじりと焦りを募らせながら、やっとのことで渋滞を抜けた瞬間、運転手に「とにかく急いで、飛ばしてくれ!」と頼むと、実にオーダーに忠実な対応で、無茶苦茶クレイジーな運転で飛ばす飛ばす。「あぁ、今度こそ死んだ」と思った瞬間が少なくとも3回あったが実際はすべて寸前で切り抜け、結局は彼のお蔭で列車出発の
30分前に、無事に駅に到着した。

「ムンバイCST駅」は、ムンバイから主に南の地域に向かう路線の玄関口になっていて、もう夜の11時前だというのに広い駅の構内は、出発を待つ人や地べたで寝ている人などでごった返していた。ここからワタシが乗るのは、およそ13時間をかけて、アラビア海に面した南のビーチリゾート「ゴア」へと向かう夜行寝台列車である。目指すホームは駅の一番端で、すでに列車はホームに入っていた。インド鉄道名物、貼り出された「予約確認リスト」のプリントの中から、受験の合格発表のように自分の名前を確認し、自分の車輌へと乗り込む。




車内に入り自分の座席(寝台)を探すが、なかなか見つからない。何度か車輌内を行ったり来たりして、「すいませんすいません」と謝りながら寝台を仕切るカーテンを開けていくと、ワタシの予約席を含めて向き合う形の上下4席を、ロンドンから来たというツーリストの4人組(白人2、黒人1、黄人1)ギャルズが占拠していた。「席、間違えてない?」と訊くと、「ゴメーン!私たち同じ仲間で一緒に座りたいので、この通路側の席とチェンジしてくれない?」と言われる。まぁギャルチームの中に男ひとり放り込まれるのもツライし、「別にいいけど」と答えると、「キャー!いいヒトで良かったねー!」などと、あくまでテンションが高い。通路側の寝台席の上段が空いていたので登ろうとすると、下段の席から、丸坊主頭にプロレスラーのようなすごい傷跡のある白人の大男がひょっこり顔を出し「オレもあっちの席から追い出されたんだ」と、ギャルたちの方を指差してトホホな顔をしていた。

列車は一度「ゴトン」と大きく揺れた後、定時に発車した。カーテン越しに聞こえてくる向かいのギャルたちの大はしゃぎ声にちょっとうんざりしながら、「移動のドタバタで結局まともな晩飯も食えなかったなぁ」などと思っていたら、「席を代わってもらったお礼に」と言いながら、向かいのギャルたちが次々にバナナだのチョコレートだのを差し入れに来てくれる。なんだかこれじゃまるで遠足気分だなと思いつつも、疲労と空腹の心斎橋さんは情にもろくなっているので、うるせいギャルズも貢ぎ物ひとつでコロっと簡単に許してしまうのであった。そして夜行列車は進む。<続>






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最終更新日  2007年09月23日 10時23分12秒
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