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2007年09月13日
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カテゴリ:旅行生活

「海へ」の巻

寝台の下の通路を何度も通るチャイ売りの「チャーイ、チャーイ」という声で目が覚める。車内はまだ真っ暗。時計をみると午前5時すぎだ。頭の上からは、列車の天井を叩く雨の音がする。通路に下りてトイレに行く途中、全開になっている乗車扉の横に立ち外の様子を眺めると、今までに見てきたインドの景色とは一変して、荒々しい熱帯雨林の風景が広がっている。ずいぶん南まで来たのを実感。しかし空には、モンスーン特有の重たい雨雲が。

寝台車窓


自分の寝台に戻ってもう一度寝ようとするが、チャイ売りにコーヒー売りやサモサ売りなども加わって朝からやたら元気よく通路を行き来するもんだから、すっかり眠れなくなる。夜行寝台の場合、たいてい朝の8時か9時頃には寝台部分を折り畳んで通常のシート席に戻すのだが、この列車はいつまでもカーテンを降ろしたまま真っ暗で、ひょっとしてみんな死んでるんじゃないかと心配になるほど誰も起きてくる気配がない。しかし昨晩から延々13時間、ようやく終点に到着する30分前というタイミングで、係員が全員のカーテンを開けて声をかけに周って来る。列車はまたしても優秀で、たったの20分遅れで終点「マルガオ」の駅に着いた。

「マルガオ」の駅はゴアのメジャーなビーチを随分通り過ぎた南寄りのエリアにあり、ここからさらにバスを乗り継いでもっと南部の開発の手が入っていない「パロレムビーチ」か「パトナムビーチ」に向かうつもりだった。しかし、予想以上に雨季のスコールが激しい様子なので、「こりゃどこに行っても基本的にビーチライフは厳しいなぁ」と判断し、急遽方針転換。これ以上の移動はすっぱり諦めて、ここから最も近い「コルヴァビーチ」に行き先を変更。しかし突然決めたのでビーチの情報が何もなく、ガイドブックにかろうじて一行だけ名前が載っていたコテージに、とりあえず行ってみることにした。

駅からは、バイクの後ろに二人乗りするだけの「バイクタクシー」に乗り(もちろんノーヘル)、のどかな南国田舎道を走りながらコテージに向かう。途中、また激しいスコールが降ってきて、しばらく軒先で雨宿りなどしながら、20分ほどで目指すコテージに到着。予想していたよりもずっと小洒落た建物で部屋もキレイな割に、オフシーズンということもあって意外とリーズナブルな料金だったので即決する。まぁ理想を言えば、椰子の浜辺の波打ち際に建つホントに簡素なバンガローみたいなのを想定していたのだが、このドシャ降りの中ではむしろこれで良かったかも。さっそく食堂のテラスで、昨晩からの長距離移動ではるばるゴアまでやってきたことに乾杯。くー、癒されるぜ。

外は1時間おきに降ったり止んだりといった天気なのだが、部屋にいてもしょうがないし、どうせ海に入りゃあ濡れるんだからということでさっそく海パンに着替え、徒歩5分のビーチに向かう。ビーチへの道では、たまーにタクシーの客引きがいるぐらいで、あとはヒトも牛もリクシャーもヤギも全然みかけない。バラナシの澱んだ喧騒に比べると、時間の流れと空気感がまるで違う。
間もなくビーチに出ると、初めて目にするアラビア海はかなり波が高くて迫力があり、沖に向かって泳げる感じではない。しかしどこまでも続く遠浅の砂浜には椰子の木が茂り、描いていたイメージに結構近い。季節と天気さえ良ければ、なかなか快適なビーチだ。

インドでは男同士で仲良く寄り添って歩いているのはよく見るが、ここのビーチでは、さらにつないだ手をふわんふわんと振っていたり、やたら密着度の高い男の二人連れが目に付く。いやインド人だけではない。白人の若い男たちでも、波打ち際に立ってお互いの腰や肩に手を回していつまでも動かないのもいるし、ふたりでキャッキャと言いながら水掛け合いっこをしているのもいる。もしかして、ここって「モーホー」ビーチか?ワタシのすぐ真横には、男のかわりにイヌが3匹も集まってきて密着状態のハーレム状態である。いつもながらイヌにはモテモテなのだ。




沢木耕太郎の『深夜特急』ではないが、旅にはちゃんと「旅の終わり」を感じる瞬間がどこかにあって、このアラビア海の大きな波のうねりを眺めながら、そろそろ短くも慌しいこの旅も終焉に近づいているなぁと思うと、いささか感傷的な気分になったりもする。


またスコールが降ってきた。<続>






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最終更新日  2007年09月24日 12時59分11秒
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 Re:20年目の印度再訪記<その12>(09/13)   放浪の達人 さん
モーホービーチでアシッドパーティーやったら
翌日はケツの穴が裂けてそうですね。
そのへんのレポート求む!
(2007年09月24日 13時11分21秒)

 Re[1]:20年目の印度再訪記<その12>(09/13)   心斎橋ワタル さん
放浪の達人さん
>モーホービーチでアシッドパーティーやったら
>翌日はケツの穴が裂けてそうですね。
>そのへんのレポート求む!

オッケー!じゃ、モーホーパーティーの詳細レポート書きますねー。
って、そんなのやってませんでした!!

(2007年09月24日 13時19分10秒)

 Re:20年目の印度再訪記<その12>(09/13)   オダギリチガ さん
いやー、心斎橋さんのこのシリーズ、読み応えあります。文章巧いですね。そして写真。配置もセンスが光る。
お仕事で素敵なプレゼン資料を作っておられるのだろうと想像してます。
(2007年09月24日 16時28分12秒)

 どうやってこう   トイモイ さん
うまく、文章を書いて、写真を構成するのですか?0点マンの私には、トランスしないと分かりません。で、朝まで踊りましたか (2007年09月24日 19時21分09秒)

 Re[1]:20年目の印度再訪記<その12>(09/13)   心斎橋ワタル さん
オダギリチガさん
>いやー、心斎橋さんのこのシリーズ、読み応えあります。

百戦錬磨のオダギリさんにそう言われると緊張してしまいます。

>お仕事で素敵なプレゼン資料を作っておられるのだろうと想像してます。

プレゼン資料はもちろん完璧なんですが、プレゼンのトークはもっと素敵なんですよ。なーんちゃって、ほげほげ。

(2007年09月24日 21時01分18秒)

 Re:どうやってこう(09/13)   心斎橋ワタル さん
トイモイさん
>0点マンの私には、トランスしないと分かりません。

学年順位ヒトケタ台のアナタが、物理4点のワタシに何をおっしゃるんですか。それともあの成績はトランス効果でしたか。
で、秘密ですが朝までキノコパーテx-でした。

(2007年09月24日 21時04分32秒)

 Re[1]:20年目の印度再訪記<その12>(09/13)   郡山ハルジ さん
心斎橋さん
いやー、心斎橋さんのこの旅、たった8日でよくこの境地まで還れましたね。最後の写真なんて、なんか叫び出したくなりました。でも、この絵を見て「旅のこれから」でなく「旅の終焉」を感じてしまったところが妻子のいる身分の分別なんでしょうかね (2007年09月25日 13時35分00秒)

 Re[2]:20年目の印度再訪記<その12>(09/13)   心斎橋ワタル さん
郡山ハルジさん
>でも、この絵を見て「旅のこれから」でなく「旅の終焉」を感じてしまったところが妻子のいる身分の分別なんでしょうかね

この時点で6日目なので、まだ大丈夫でした。ここで「旅のこれから」を感じてたら、さすがに社会的にちょっとヤバイでしょう!それか確信犯ですね(笑)
(2007年09月25日 15時43分58秒)

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