これは僕の父の物語だ。
僕の父と母と、そして僕の。
とんびとタカが、旅をした物語----------。
日曜劇場だったなぁ。
いやぁ、泣けた。
久しぶりにドラマ見てボロボロ泣いた。
展開も分かってるんだけど、やっぱり役者さんたちの芝居に泣かされたって感じだ。
大好きな役者さんのひとりである内野さん。
彼の熱い芝居が大好きで、今回の市川安男という役はぴったりだと思う。
そして健のまっすぐさ。
常盤さんの美しさ。
昭和という時代を背景に、街の人のあったかいやさしさと繋がり。
まさに古き良き時代ってのを見せてくれたなぁと思いました。
1998年(平成10年)
出版社に務め、小学生の雑誌の付録を考えることが仕事の市川旭。
でもそれが難しすぎると、目からウロコなものを考えろと却下されてしまう。
その答えをデスクに飾った母や父に問う旭。
時は昭和47年。
結婚して3年。
幼い頃に母親を亡くし、父に捨てられた市川安男には、もうすぐ子供が生まれる。
自分が結婚することも、カミさんがいることも、照れてしまうようで、それをからかわれるとぶっきらぼうになるヤスだが、姉のように親身になってくれる居酒屋の女将のたえ子や、幼馴染で坊主の照雲やその父の、和尚・海雲を初め、街の人たちと仲良く陽気に暮らしていた。
いやぁ、美佐子・常盤さんとヤスのやり取りが実に微笑ましいなぁ♪
見てる方がこそばくなるような新婚さん的なノリ。
ぶっきらぼうで関心がない風を装ってるけど、でも美佐子が大好きで仕方ないのがよく分かるし。
大声で怒鳴るのは照れの裏返し。
で、生まれてくる子供の名前は小林旭か吉永小百合だって。
それに賛同する美佐子もまたいいノリしてるわ♪
どうやら美佐子もまた幼い頃に両親を亡くし、親戚の家で遠慮して暮らしていたよう。
だから小皿に少しずつ、たくさんの料理を振舞い、それをガツガツおいしそうに食べてくれるヤスを見ているのが幸せなよう。
そして、母に墓参りし挨拶しに行ったその帰り。
美しい景色に佇む2人。
その景色を早く子供にも見せてやりたい。
そんな話を照れながらするヤス。
足の爪が伸びていないのは、美佐子が昨晩ちゃんとヤスが眠っている間に切り整えてくれていたから。
それを病気かと心配するヤスに、大丈夫ですよと笑って答える美佐子。
お父さんになるんだからという美佐子の言葉に、初めて「お父さん」を意識するヤス。
いい父親になれるのか?
父親というものが分からなくて、不安になるヤスに吊られて美佐子もお母さんになる心配をしてしまう。
「大丈夫だって、お前は。
何つうか...
甘やかすから、人を」
「じゃあ、ヤスさんも大丈夫ですよ」
だがその時、予定日より1ヶ月も早い段階で産気づいてしまった美佐子。
石畳の階段を降りるなどとても出来そうにない。
そこで、うずくまる美佐子をお姫様抱っこで抱えて階段を下りはじめるヤス。
石畳が危険なので、はだしで降りるヤス。
怪我をしても絶対に妻と子供を落とすようなことはしない。
一生懸命なヤスの姿を見て、思わず涙ぐむ美佐子。
「ヤスさん私しあわせです。
しあわせ者です」
ここもまた泣けたなぁ。
そして、担ぎこんだ病院で所在なげなヤス。
駆けつけた街の皆と一緒に、何故か照雲とお経を唱え始めるヤスたち。
ギャグだけどみんな必死。
そして、みんながヤスの子供の誕生を祝ってくれたのだ!!
いい人たちだなぁ♪
「抱っこしてやってください、お父さん」
そうっと壊れ物を扱うように息子を抱きしめるヤス。
これからは家族3人で一緒に。
でも、親バカ全開のヤスに町中の話題を浚うことに。
風邪で熱が出ると、医者3人呼んだり、初めて旭が捕まり立ちした銭湯で、「立った」って素っ裸で叫びまくったり。
本当親バカ~♪
3年があっという間にすぎていく。
一緒に海へ行って家族の時間を過ごして・・・。
ここは美佐子に婚姻届けを渡した場所。
ひとりが2人になって、今は3人になってる。
「家族って、育つんですね」
そう言って微笑みながら優しく旭を見つめる美佐子。
旭に靴紐の結び方を教える美佐子。
そんなふたりを見て、ふいに幸せを感じたヤスは涙を流す。
そんな父を見て旭は問う。
「おとしゃん、寒いの?」
「ぽかぽかじゃ、ボケ!!」
でも涙を止められなかったヤスの写真は少しブレているのだった・・・。
でもそれがしあわせの証なんだ。
だからヤスはたえ子にしみじみと告げる。
「俺...
幸せなときは笑うもんだと思ってたけど、違うな。
ホントに幸せなときは、涙が出んだ」
たえ子はヤスが子供の頃から苦労していることを知っている。
ようやく彼が家族のぬくもりと幸せを知ることが出来て、本当に喜んでいるようで・・・。
明日は3人で動物園に行く約束をしていた。
だが当日は土砂降りの雨。
それでも行くとダダをこねる旭。
あやしても効果がないので勝手にしろと投げやりになってしまうヤス。
するとたまたまその日、炊飯器のコンセントを入れ忘れてしまい、ご飯が焚けてなかったのだ。
パンはイヤだというヤスに、ご飯は小一時間かかるけどいいかと返す美佐子。
その言い方に思わずカチンときてしまうヤス。
両親の喧嘩する口調に、泣き出してしまう旭。
居心地が悪くなったヤスは休日なのに会社に行って鬱憤を晴らすことに。
すると・・・しばらくして美佐子と旭が会社に現れたのだ。
どうやら旭が気を遣っておとしゃんの会社が見たいと言い出したよう。
なんという三歳児!!
子供に気を使わせちゃ駄目だと反省する美佐子とヤス。
素直に謝罪するヤスに、美佐子は強気に自分は悪いことはしていないと謝らなかったのだ。
でもそれは・・・甘えているのだという美佐子。
「ヤスさんなら、謝らなくても許してくれるって思ってるんです。
安心しきってるんです。
私、いつのまにこんなに幸せな女になったんでしょう」
美佐子もなんだか泣きそうな顔してる。
それがしあわせなんだろう。
その言葉ですっかり仲直りした美佐子とヤス。
今度はトラックを買って3人で日本中を旅しようと夢を話し喜ぶ3人。
そして大きな荷物を嬉しそうに動かし仕事をはじめたヤス。
そんな父にタオルを届けようとした旭。
だがその時、不安定に積み重ねてあった荷物に、旭が振り回していたタオルが引っかかってしまい、上から木箱が降って来てしまったのだ!!
咄嗟に伸ばした手。
そして・・・美佐子は旭を庇い荷物の下敷きになってしまうのだった---------。
「美佐子ぉぉぉぉぉ!!」
黒煙が上がる。
それを見つめるヤスと、死をまだ理解できない旭。
たえ子の店で皆が集まるも・・・ヤスに話しかける言葉も出ない皆。
その時、荷物を不安定に積み重ねて、以前からヤスにも注意を受けていた山崎が店にやってくる。
自分が置いた荷物のせいでこんな事故が発生したことを土下座して謝罪。
どうしたらいいか、彼も罪悪感でいっぱいなのが痛いほど分かる。
だがヤスは山崎を責めない。
どれだけ彼を罵っても、もう美佐子は戻ってこないのだ。
そして、元は自分が悪いのだと言い出すヤス。
休みの日に会社へ行ってしまったから。
それは喧嘩をしたから。
あの朝、自分がパンじゃイヤだと言ったから。
何故そんなことになったのか?
機嫌が悪かったから。
何故?
雨が降っていたから。
「雨が悪いんだよ!!
あいつは雨に殺されたんだ!!
あいつが死んだのはお前のせいじゃねぇ!!雨のせいだ!!」
山崎に一緒に飲もうと言うヤス。
美佐子は人が笑顔で食事をするのが大好きだったから。
その言葉に救われた山崎。
だが、たえ子は心配で仕方ない。
「やっちゃん、ちゃんと悲しめないようになっちゃった」
人には笑えとお酒を勧めるのだが、ヤスはまだ心の底から泣いていないのだ。
海雲は死が理解できない旭に、おかしゃんは家を引越したと教える。
旭は無邪気にじゃぁおかしゃんのいる家を探すと笑顔で答える。
だが・・・家に戻ったら、そこかしこに美佐子の存在を思い出させるものがあるのだ。
つい先日まで生きていたのだから。
脱いだままのスリッパにエプロン。
泣かないと決めたのだ。
自分には旭もいる。
だから涙を堪えて美佐子のものはすべて捨てるヤス。
写真はすべて纏めてダンボールに入れて照雲に渡すことに。
はじまった旭とふたりの生活。
仕事の間はたえ子が面倒を見ることになったようで。
だがちゃぶ台に並ぶおかずはたったひとつ。
美佐子はところ狭しと並べてくれたおかずはもうないのだ。
そして旭を寝かしつけたヤスは、孤独に耐えられず思わず家を出て煙草をふかしに出てしまう。
伸びた足の爪。
だがそれを切ってくれる人は・・・もういないのだ。
戻って来てくれ。
どうすればいいかわからない。
そうぼやくヤス。
そしてアパートへ戻って来たヤス。
すると、旭が泣きながら家から飛び出してきたのだ!!
どこへ行っていたのか。
寂しくて泣いていた旭が可哀相で申し訳ないと抱きしめて謝罪するヤス。
でも、危険だから勝手にドアをあけるなと注意するヤス。
だが、旭はおとしゃんだと分かるというのだ。
それはヤスの階段を上る音が左右で大きさが違うから。
「ダン! どん ダン!どん ダーン! は
おとしゃんだよ」
美佐子も昔同じ事を言っていた。
それを想い出し、思わず涙がこみ上げるヤス。
力一杯旭を抱きしめ、寒いのかと問う旭に、ぽかぽかじゃと返す。
「旭、見つけたぞ。
おかしゃんの家。
おかしゃんはお前の中にいる。
おかしゃん ここにいんだ!」
思い出すだけでこみ上げるものがあった。
泣けた泣けた。
内野さんの表情と、けなげな子供ちゃんの言葉に。
翌日、旭は嬉しそうに和尚におかしゃんは胸の中にいると叩いてみせる。
それを聞いて和尚はずっと一緒だなと頭をなでてくれるのだった・・・。
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