会話4
「旦那、あっしには健康な体がねえ、勇気も、力も、行動力も、何もねえ。 あっしには自分では何も成すことができねえ、そんなことは、分かりきってるんでさ。」「・・・・」しかし彼は、急に微笑んだ。「でも旦那、あっしは信じることができる。」さらに力強く言う。「旦那。あっしは理解することができる。勉強することができる。未来を予感することができる。それを表現することができる、それを伝えることができる。 そして何より、それを信じることができる。」「旦那、あっしには何も達成することはできねえ。 でも、信じることはできる。それを手伝い、鼓舞することはできる。」「だから旦那。ワシは主君じゃねえ、従者であるべきなんです。 旦那には自らの定義を言うことができる、誓うことができる、それを理由に未来へ歩いていくことができる、勇気がある。 他人を思い、傲慢になりきれず、謙虚から抜け出せず、行動ひとつひとつに悩み、苦しんでいる、心がある。 旦那、そういうあんただからこそ、それでもなお、求められればよどみなく信念を語り、 現実へ引き下ろそうとする貴方だからこそ、 旦那は、旦那こそが主君であるべきなんです。」「旦那は夢を信じてくれる、それのために行動もしてくれる。 あっしら疑い深い弱い奴らは、それが何より嬉しいんです。旦那のようにバカみたいに突き進む人々が。」「だからこそ、旦那。あっしは貴方に付いていくんです。旦那はあっしの夢を信じてくれる、旦那は未来を作ってくれると信じることができるから。」