息子が自閉を伴う発達障害と知り、中学を特殊級にと考え始めた頃、情緒級という言葉を初めて知った。それでも、情緒級の対象の多くが自閉症児だと分かるまではそれなりに時間がかかった。自閉症が情緒?どうも、しっくりこなかった。実際、ある自治体の情緒級の紹介には以下のような記述がある。
”様々な原因によって、楽しいはずの学校生活になじめずに、学校を嫌がったり、情緒不安定になったり、 友達とうまく関われなかったりすることがあります。通級制情緒学級は、このような生徒に対して、本来もっている自分の力を発揮し、自信をもって楽しい学校生活が送れるように援助することを目的とした学級です。” 先日日記にも書いたけやきの郷理事長(日本自閉症協会副会長)須田初枝さんのお話に情緒級の成り立ちについて、触れられたところがある。やまびこ作業所で働く須田さんのお子さん達は40代が中心らしいが、この年代の自閉症者の中で義務教育9年をまっとうできた方はいないという。
長らく就学猶予の名の下に義務教育の外に置かれていた知的障害者が受け入れられるようになってからも重度の自閉症児を受け入れてくれるところはなく、須田さんたち親の会の働きかけでようやく、従来の知的障害とは別の障害として対応されることになり、杉並区立堀之内小学校に情緒障害級が設けられたのが1969年。そのときに親達は自閉症級としてくれと強く求めたのだが、受け入れられず、それは返す返すも残念だった、との言っておられた。
自閉症の診断ができる医師も少なく、自閉症ではなく、知的障害でもない身体面以外の障害というものがあることを思えば行政としてもやむをえないものもあったろうが、自閉症級というものが誕生し、全国の都道府県に生まれていれば自閉症の認知も飛躍的に向上していたのではないだろうか。
今度、情緒障害と自閉症を分ける方針が決まったと言う。歴史のページが進む。
ゆっくりではあるけれども。 |