他者との係りを築く能力の弱い子供でも、ある程度の力があれば母親との濃厚な関係の中では関係を築くことができ、その範囲での発達は正常である。それが、母親に密着する時期を過ぎ、他者との関係を構築する時期になったとき(著者はこれを立ち歩きする時期と重ねている)、これに失敗し、母親との関係も壊れてしまい、発達が停滞してしまうのではないかと書いているのだが、、、
ということは、先天的に自閉傾向にある子供はこの時期の危機をうまく乗りきることにより、子供の自閉症症状はかなり軽くなる、あるいは正常範囲と思える範囲に留まれる、そういうこともあるのだろうか。
ゲームやテレビのやりすぎによって発達障害に陥るということが日本小児科学会によって警告されている。ゲームをやりすぎれば問題が起こるのは当然のことで、同じくらいゲームをやって、順調に育っている子供、兄弟を見ている親としてはそれを発達障害と結び付けられるものか、と疑問う。しかし、例えばこういうことはあるだろうか。
アレルギー体質に生まれた子供は他の子供と同じ食べ物を与えるわけにはいかない。先天的に他者とのかかわり能力が弱い子はアレルゲンを取り除くように、一人遊びの時間を避け、ひたすらかまい続けてやって、ようやく他者とのコミュニケーションを学んでいく。普通の子供には適度な息抜きのゲーム時間というものであっても、それ以前のミニカーを使った一人遊びでも、絵本を見る時間であっても自閉傾向の子供にとっては適切ではない、ひたすらひたすら、何かを話しかけ、一緒に遊び、他者との関係を丁寧に育ることが一番の療育、、そういうことがあるのだろうか。
こんな疑いを持たせない、0才の時から顕著な自閉の子もいる、でも、ボーダーの子もまた、いる。
りおは一人遊びが好きだった。一人で絵本を見たり、プラレールを並べたり、その様子はとても楽しそうだったから、その時期に自閉傾向にあることを気が付かなかった自分のうかつさは悔いても、そのこと自体がいけなかったという思いは微塵も持っていなかった。
今更、それに私のような素人がいくら考えても仕方がない。
でも、こうした仮説の積み重ねがいつか有効な療育メソッドを生んでくれることを願う。 |