テーマ:Jazz(1977)
カテゴリ:★★★★☆
女性ボーカルにはほとんど興味のない猫麻呂なのに、ディナ・デローズにはすっかりハマってしまった。個人的には今年一番の大ヒットだったりする。
ディナ・デローズは知人(業界の人)から薦められて聴いてみたのがきっかけだった。まだ日本では知名度は高くないらしいが、新宿ピットインに出演したこともあるらしく、一部の人は既にハマっているのらしい・・・。 どうしてこんなにハマるのか・・・。それはジャズ・ボーカルっぽくないからだと思う。猫麻呂にとって女性ボーカルのイメージとは「怖い系」か「不自然にかわいい系」かのどちらかだったが、ディナはどちらでもない。とにかく「自然体」なのだ。「鼻歌」なんて書くと失礼だが、それくらい自然にメロディーが歌として出てきたような感じ。器楽演奏と一緒にあっても違和感がなく、器楽演奏と歌との距離感がない。ボーカル作品のはずなのに、ボーカルものを聴いた後のこっ恥かしさがないのだ。 そう感じる理由は、ディナがそもそもピアニストであるからだろう。ディナはダイアナ・クラールと同じで「弾き語り」のお姉さんなのである。ボーカリストとして出発したエピソードがallmusicのバイオグラフィー欄に記載されていたが、試しに歌ってみたら案外良かったからボーカルも続けているタイプなのだろう。本職はジャズピアニストだから、器楽奏者との距離感のない歌ができるんだろうな・・・と勝手に想像している。このCDでは出てこないが、ディナのスキャットの音程の正確さは驚くべきものがある。 最初にボーカルの話から始めてしまったが、本来はディナのピアノを聴くべきだと思う。ディナのピアノには小粋なドライブ感があり、聴いていて心地よい。ボーカルと同じく、とにかくセンスがいい感じのプレーヤーなのだろう。目新しさよりも目先の心地よさを求める人には堪らないタイプだと思う。こういう演奏は何度聴いても飽きないなー。 この作品、初期のリーダー作だが、参加しているホーン陣が豪華で面白い。スティーブ・デイビスの甘いトロンボーン、飄々としたスティーブ・ウィルソンのサックス、どんよりしたイングリッド・ジェンセンのトランペットといった三者三様の短いソロがおいしいところで入ってくる。ジャズの福袋のような作品といえるだろう。 猫麻呂ポイント:★★★★☆(4.5) Dena DeRose / Another World (Sharp Nine) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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