Louis Hayes & Cannonball Legacy Band / Maximum Firepower (Savant)
ジェレミー・ぺルトを応援する猫麻呂ブログとしては、嬉しいCDがリリースされた。キャノンボール・バンドに長年在籍したルイス・ヘイズがキャノンボール役をヴィンセント・ハーリング、ナット役にぺルトを擁して、キャノンボール・バンドを再現するというのが、キャノンボール・レガシー・バンド企画らしい。各地でライブ活動を行っているらしいが、このCDはヴァン・ゲルダー・スタジオでの録音だ。この手の「企画モノ」というのは普通は長続きしないものだが、ルイス・ヘイズの"Dremin' of Cannonball"から数えても4年は経過していることになる。ルイス・ヘイズの老人力・・・じゃなくて求心力と、ハーリングのキャノンボールに対する想いが牽引力となっているのだろう。不思議なのが、ぺルトのようなクールな人間がお祭り企画に長く加わっている点だ。こういうモノマネ大会のような企画といえばニコラス・ペイトンが一番フィットするはずなのだが・・・。ぺルトの場合、「ナット・アダレーのトラで入ったフレディー・ハバードのモノマネ」という、背景の入り組んだマニアックなモノマネと思えなくもないが、「ぺルト流クールファンキー」という方が近いかもしれない。いずれにせよ、ぺルト・ファンには興味深い作品となった。ついついぺルトの話ばかり書いてしまったが、ハーリングとヘイズも聴きどころ満載だ。ハーリングは、キャノンボールの色気と毒気こそ再現できないものの、フレージングはキャノンボールそのものであり、キャノンボールへの愛情が滲み出ているのが分かる。一方ヘイズは、キャノンボール・バンドでの日々を懐かしむと同時に、若い世代とバリバリのジャズが出来る喜びに溢れている。ヘイズのシンバルには、そんな想いが表れているような気がする。大半の曲がキャノンボールのファンキー・ナンバーで思わずニンマリしてしまうのだが、雰囲気の違う曲が2曲ある。1曲はぺルト作曲の "The Two of Them"。キャノンボールとナットに奉げるバラードだが、ここだけは完全にペルト・ワールドになっている。もう1曲は"Autumn Leaves"。いわゆる"Somethin' Else"の枯葉をイメージした演奏なのだが、これはキャノンボール・バンドには相応しくない選曲だったと思う。しかし、ペルトによるマイルス・デイヴィス・トリビュートとして聴くと、これがなかなか興味深い。キャノンボール・レガシー・バンドという企画、是非とも活動を続けて欲しいと思うが、懐メロだけでなくキャノンボール風の新曲を作って、真のキャノンボール・バンド復活を目指して欲しいなぁ・・・。猫麻呂ポイント:★★★★☆(4.5)Louis Hayes & Cannonball Legacy Band / Maximum Firepower (Savant)Louis Hays(ds), Vincent Herring(as), Jeremy Pelt(tp,cor,flh)Rick Germanson(p), Anthony Wonsey(p), Richie Goods(b)Recorded on June 5 & 28, 2006 1. Jessica's Birthday 2. This Here 3. Lisa 4. Little Boy With The Sad Eyes 5. The Two Of Them 6. Sweet Georgia Bright 7. New Delhi 8. Sack O'Woe 9. Autumn Leaves 10. Unit 7