Clifford Brown / Complete Paris Sessions Vol.1 (Vogue)
ブラウニーをフィーチャーしたハンプトン・オーケストラ有志の契約違反セッションin ParisのVol.1だけが何故かBMGファンハウスの1500円シリーズで出ている。パリセッションなんて余程のブラウニー・ファンしか聴かないものだと思っていたのだが、BMGファンハウスは勝算あっての発売なのだろう。これが不思議でならない。私は概してブラウニーに冷たいのだが、この作品でのブラウニーは特に面白くない。アマチュアのセッションで、上手いのは分るが回りから浮いちゃっている人というのが必ずいる。天下のブラウニーをアマチュアと比較しては申し訳ないが、完全に浮いているのだ。まだ若かったから自己顕示欲が強かったとか、お客様扱いだったから天狗になったとか、理由が何かは知らない。しかし、ブラウン=ローチ・クインテットやBNセッション、ダメロンバンドでのセッションでも、ここまで一人だけ浮きまくっているものはない。"Keeping Up With Jonesy"ではアート・ファーマーとのバトル(ミディアムテンポなのでバトルとは言い難いが)では、全体との調和で考えればファーマーの方が良く出来ているのである。ブラウニーのフレーズの方がカッコイイしキレも良いのだが、どことなく瞬間的な思い付きで吹いているようにも思える。その点、セクステット・セッションでは、ブラウニーが浮いた感じが少ない分だけ聴きやすい。それでも、全体的にまったりしたカラーの中で、一人だけ原色ギラギラの感は残る。そんな中で唯一聴き応えのあるのが"I Cover The Waterfront"だ。それでも、どことなく落ち着きがなく、後年のブラウニーのバラード演奏のような凄みは出てこない。結局、このCDでなければ味わえないブラウニー、というものがほとんどないのがこの作品の弱みなのだろう。ジジ・グライスとのセッションを聴くのであればBN盤の方が数倍面白い。Clifford Brown / Complete Paris Sessions Vol.1 (Vogue) 1. Brown Skins (Alt. Take) 2. Brown Skins 3. Deltitnu 4. Keepin' Up With Jonesy 5. Keepin' Up With Jonesy (Alt. Take) 6. Cenception 7. Cenception (Alt. Take) 8. All The Things You Are 9. All The Things You Are (Alt. Take)10. I Cover The Waterfront11. Goofin' With Me1-5 Gigi Gryce and His OrchestraArt Farmer, Fred Gerard, Quincy Jones, Fernand Verstraete, Walter Williams(tp) Jimmy Cleveland, Al Hayse, Bill Tamper(tb) Gigi Gryce, Tony Ortega(as) Henri Bernard, Clifford Solomon(ts), Henri Jouot(bs), Henri Renaud(p), Pierre Michelot(b), Alan Dawson (d)September 28, 19536-11 Gigi Gryce - Clifford Brown SextetClifford Brown(tp), Gigi Gryce(as), Henri Renaud(p), Jimmy Gourley(g), Pierre Michelot(b), Jean-Louis Viale(d)September 29, 1953猫麻呂ポイント:★★★☆(3.5)