柴田淳さんの話多すぎブログ　～僕はここにいます。～

こんにちは。
まだまだ歯医者に行ってます。昨日は「この歯グラグラなんでどうしますか？」と言われた。

「抜いてください」

麻酔を５箇所ぐらい刺され、鉄のペンチで歯の一部をバキっ。
先生「痛くないですか？」　うなずく僕。
次は抜く用のペンチでゴリッ。　痛くなくても脳と鼓膜に響く嫌なその音を聴きながら根っこごと歯は取れた。

ガーゼで止血の間、他の患者を見る先生。

まだ少し苦い麻酔と、噛んでる感じがしないガーゼに我慢しながら、斜め後の作業台をじっと見る。

金属製の皿には血にまみれて置かれた歯。

後処理をしてもらって会計に。

「わったんさん、今日は1050円です」

かぶせを付ける時の会計は3000円だった。
なのに30年近く僕と一緒にいた抜歯の作業が1050円。

”もうちょっと高くてもいいのに・・・”

会計を済ませている時、ドアの後側で見えてた光景は
助手の人が抜歯後の歯をつまんで捨ててる様子だった。
「お大事に」「ありがとうございました」
外に出る。

ぽっかり空いた奥歯と、ぽっかり空いた心と、
少しスースーする歯と、少ししかスースーしなかった財布の重みと、
痛みはなくても麻酔で口に重みのある感覚と、痛みはないのに重くなった感情で
秋の空のような綺麗な夕焼けを見てた。

その時、遠い友達から遠い空の写真が届いた。

「とても空が青くてびっくりした！」
添付ファイルには、本当にとてもとても綺麗な深い青空。

僕は返事とお礼の代わりに、今見てる空の写真で返した。

携帯写メだけど「この人に見せたい」と思いながら撮る写真は
何か違うような気がする。

小さい携帯を両手で持って・・・
少しでも綺麗に見せたくてブレないように・・・
今僕が見てる景色と同じ感情を伝えたいから・・・

僕はその時。シャッターに恋をしながら写してるんだと思う。
「どうかお願いします。隣にいて一緒に見ていたように撮らせてください」

露出補正もせずにそのままを撮った写真は、友達に無事届いた。

撮ることも大事で、見せることも大事だけど、

”見せる人がいる”ってことが一番素敵なこと。