イエス/サードアルバム
今回はイエスの出世作となった「サードアルバム」です。このアルバムからスティーヴ・ハウが参加し、現在まで続くイエスサウンドが確立した作品として「こわれもの」「危機」ほどではないものの名盤として評価の高い作品です。しかし、僕はこの作品に対してきっと出会い方が悪かったのでしょう、この作品の収録曲はとても愛着があるのに、このアルバムそのものは愛着がない、という奇妙な状態になってしまったのでした。えらく回りくどい書き方をしました。要するにこのアルバムを聴く前にライブヴァージョンでその殆どの曲を慣れ親しんでいたことがその原因なのです。ライブヴァージョンは当然このスタジオヴァージョンとラインナップが違ってたわけですが、一番大きな違いはドラムでした。ライブヴァージョンの方はアランホワイト、スタジオ盤の方はビル・ブラッフォードですが、アランのテイクの方に慣れてしまってたせいで、ビルのドラムがどうも気持ち悪いのです。アランのアプローチは伝統的なロックドラムなので、シンプルに8ビートをきざんでいてノリ重視といった感じです。「ユアズ・イズ・ノー・ディスグレイス」「スターシップ・トゥルーパー」「アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル」といったイエスの十八番ナンバーはアランのアプローチが曲に合ってると思います。片やビルのアプローチは随所に小技を組み込んでいて技術的に凄いと思わせますが、その分ノリがやや悪くなってるように聴こえます。あとアレンジがライブと違う箇所も気になります。「アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル」スタジオ盤ではエンディングが転調を繰り返してフェードアウトするのですが、どうも気持ち悪い・・・1st,2ndは曲自体がジャズ寄りのものもあったため、ビルのアプローチは曲にあってましたが、このアルバムの曲は完全にロックバンドの曲になっているため、違和感があるように思います。もちろん、最初にこのスタジオ盤を聴いていたら特に何も思わなかった可能性大ですが(笑)。一方「パペチュアル・チェンジ」はイエスソングスのライブヴァージョンもビルの演奏だったのでこれは違和感なく聴けました。これはタイトルが示してるとおりイエス史上最も変化に富んだ曲で、はっきりいってもうどこがどうなってるのかよくわかりません(笑)。とにかく凄いプレイの応酬がずっと続きますが、必ず静のパートがありジョンのやさしいボーカルが聴こえてくる、きっとこれがあるから僕はイエスがどんなに激しいことをやっていても安心して聴いてられるのだと思います。スティーブのアコギソロ「クラップ 」もビデオ版「イエスソングス」やABWHのライブのテイクの方がより愛着があったりします。ここでしか聴けない小品「ア・ヴェンチャー」、ほっとする曲です。このアルバムはよくこの曲だけ聴いたりしています。うーん、複雑な思いですね。曲自体はもう文句のつけようがないくらい強力なものばかりですから。カンサスのメンバーも口をそろえてイエスはこのアルバムが一番だと言ってたそうです。近々また再発されるようだし、このスタジオ盤に早く慣れたいです・・・【来週発売】【Rock/Pops:イ】イエスYes / サード・アルバム(EXPANDED&REMASTERED) (CD) (...