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カテゴリ:趣味・読書
まずは文庫版の開設の一部を抜粋。 「主人公の伊藤が辿りついた『荻島』は奇妙な土地である。仙台の先の牡鹿半島をずっと南に来た処にある小さな島。だが、この島は百五十年ほど外との交流がないばかりか、嘘しか言わない画家,詩集を読む人殺しの男,地面に耳をつけて音を聞く少女など・・・おかしな人ばかりが住んでいるのだ。とりわけ現実離れしているまは田圃に喋る案山子が立っていること。しかもその案山子は未来を見通せるのである・・・」 こんな不可思議な状況設定の中で発生する『案山子殺人事件』。突拍子もない状況設定とこれまた突拍子もない殺人事件の発生。それでもこの作品は稀にみる秀逸なミステリーとして成立している。巧妙な伏線の数々がラストで一気に収斂してゆく手際の見事さ、そして何よりもこの作品が他のミステリーと一線を画していると僕が思うのは、作品全体を貫く主題の壮大さとその見事な掘り下げがなされている点である。 ミステリーというカテゴリーの枠を使った文学作品と言ってもいいのではないでしょうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年05月29日 17時44分49秒
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