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頭の上は いつも青空

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2013.01.26
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カテゴリ:ひとり言

少年王、ツタンカーメンは暗殺された。

エジプトにあんまり興味がない人でも、どこかで聞いたことがあるだろう有名な説である。テレビでもよく、この説が流されていた。
だが、この説はすでに誤りと証明されたことを知らない人は、まだいるかもしれない。

かつて暗殺説の根拠となっていたのは、過去にツタンカーメンのミイラが持ち出されたときに撮られた1962年のX線写真である。

その写真に頭蓋骨の中の骨片が映っていたので、「殴られて頭部を損傷したのではないか」[頭蓋骨陥没の痕跡ではないのか」と言われたわけだ。

だが、写真が古いのと、当時はそんなに解像度がよくなかったのとで、憶測が憶測を呼ぶ結果になっていた。

そこで技術の進歩した現代になって改めて、死体を検証しようとした。

2005年のCTスキャンで、頭骨に外傷はなく、この骨片はミイラ作りの際に頭骨の内部から剥がれたものであることが確定した。

頭部を殴られて陥没した痕は存在しなかった。また、殴られたなら頭蓋骨の内部で脳内出血が起こるはずだが、そのような痕跡も骨には見られなかった。
X線写真で発見された骨片は、ミイラづくりのため頭蓋骨内に樹脂を流し込む際、後頭部の骨に人工的に穴を開けたときに内部に落ちたものだったのだ。
(骨片の大きさがほぼ一致した)

--つまり頭部への打撃によって死んだのではない。


では、彼はどのようにして亡くなったのか?
ツタンカーメンの真の死因についてだが、スキャンから約一年が経過した2007年現在、事故死であるというのが、ほぼ確定している。

ミイラのCTスキャンの写真から、左の大たい骨が縦に粉砕されていることが分かっている。
法医学的な見解から、

(1)その折れ方がバイクやスクーターの事故によく見られる
(2)骨の治癒跡がある(数日間は生存していた)

以上をふまえ、「戦死 または戦車などからの滑落による死」という可能性は高いと結論付けられた。
また、左足首にも骨折跡があり、ギプスのような物質で固められている、ということも分かっている。

また、ツタンカーメンのミイラの胸には、肋骨がほとんど無かった。ミイラづくりの際、職人の手によって鋭利な刃物で残さず剥ぎ取られたようである。

通常ミイラにする際に取り除くのは脳と内臓だけであって、肋骨なんて傷つけないから、
それが無いということは生前に粉砕骨折したなどの理由があったのかもしれない。

この事実もまた、「戦車から落ちたor戦車に轢かれた」ための死亡...戦争もしくは軍事訓練によって命を落とした、という説を裏付ける。
実際、墓には戦車(いわゆるチャリオット)も収められていた。ツタンカーメンは軟弱な美少年などではなく、好戦的、活発な若者だったかもしれないのだ。


彼は暗殺されたかもしれないし、されなかったかもしれない。
戦車から落ちたにしても、戦車に細工するとか、戦車から突き落とすとかした人物がいなかったとは言えない。だが、少なくともこれだけは言える。

   ただの事故死の可能性もある。

現在のところ、ツタンカーメン暗殺を示唆する明確な証拠は、ミイラからはじき出した年齢による「早死にした」ということ、埋葬のヤッツケ仕事ぶりから推測される「その死は想定外であった」ということの二点しかない。それ以上、確かなことは誰にも分からない。

アクエンアテンが死んで、ようやくこれから国内を立て直そうとしているときに若き王に死なれて、かわいそうだったのは残された廷臣たちだ。彼の死によって第18王朝の系譜は途絶え、ホルエムヘブ以後は血縁関係のない王族による第19王朝が始まる。

悲劇の少年王、といえばカッコいいが、実際は何もしないうちに早世してしまった、歴史上は地味な人であることを時々は思い出してもらいたい。

* * * *

ツタンカーメン王墓が発見されたのは1922年だが、それは、エジプトでの発掘が単なる「お宝探し」から「学術的発掘」へと移行する、最後の時代だった。カーターは墓内部の財宝の所有権を主張したし、記録もとらずに宝を運び出すことしかしなかった。(※だから発掘の段階で失われた遺物も多いし、それぞれの遺物がどのように保存されていたのかについて、完全に再現することは不可能である)

王のミイラについても、かなり手荒く包帯をひっぺがしたようで、
「棺に張り付いていたのをはがした」という表現がされている。さらには、黄金のマスクを外すため、ツタンカーメンのミイラから首を切り取った。(※そのため、現在ミイラは首と胴体が切り離された状態になっている)

ちなみにカーターたちがツタンカーメンの遺体を棺から「ひっぺがさ」なければならなかったのは、ミイラの胸の部分に樹脂を含んだ大量のつめものがされ、その樹脂が溶け出してミイラと棺を癒着させてしまっていたためである。

その癒着部分を取り外す為、ミイラはお湯をぶっかけられ、
メスで切り裂かれるはめになったのである。合掌。
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Last updated  2013.01.27 03:16:22
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