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ぼんやりひつじのひとりごと

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2006年08月13日
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カテゴリ:本のこと
『オリガ・モリソヴナの反語法』を読み終えました。全体通して、スピード感があってまるで推理小説を読んでいるようなストーリー。内容が濃いので一気には読みきれなかったけれど、次がどうなるかと思うと途中で頁をなかなか閉じることができませんでした。登場人物ひとりひとりがとてもユニークで生き生きと描かれた、ちょっと他にはない小説です。

ストーリーはソ連邦社会主義体制時代を生き抜いたオリガ・モリソヴナという一人の女性の人生を、チェコスロバキア・プラハのソビエト学校時代の教え子であるシーマこと志摩が追っていく形式。まるでノンフィクションのような話の形態をとっていますが、物語自体はフィクションです。

シーマが、尊敬していたダンスの先生であるオリガの消息をたどり始めたのはもちろん社会主義体制が崩壊した後。オリガを追うことでかつての同級生とも久しぶりの再会を果たします。
社会主義体制の中、ロシアの人々はどういう生活を送っていたのか、ソビエト学校の様子はどうだったのかがフィクションでありながらリアリティーを持って迫ってきます。それは著者自身が体験したことから物語が出来上がっているから。だからこれは米原さんでなければ書けなかった大作。

資本主義体制の日本で生まれ育った私には社会主義・共産主義というとなんだか自由の利かない怖い社会と言うイメージばかりがあったのですが、必ずしもそうではなかったのだなと感じました。この本の最後に付け加えられた米原さんと池澤夏樹さんの対談の中で、米原さんご自身が『社会主義のいいところは人間を商品として考えないところ』と語っているように、むしろ個々人の才能を周りの人が皆で喜び、大事にする暖かく自由な環境があったことがこの話を読み進むうちに理解できました。そして、『出る杭は打たれ』たり、『どんぐりの背比べ』を求められる日本社会よりもよっぽど自由な空気が溢れていたのではと思わざるを得ません。

このように、フィクションでありながらこの小説にはいろんなエキスがつまっています。推理小説風だけど、そんなに軽くは読めない。社会主義体制下の暗い恐ろしい出来事もたくさん出てくる。でも、どこかで風穴が開いててそこで人間の豊かさやユニークさを語り続けてくれています。だから最後まで暖かい楽しい気持ちで読むことができる。ほんとに貴重な本です。





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最終更新日  2006年08月13日 22時11分42秒
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