ぼんやりひつじのひとりごと

小説だとは判っていながらいろんな所で心が騒いだ話でした。

「強盗殺人者」の弟にされてしまったがゆえに、社会のさまざまな差別に苦しむ直貴。
直貴自体はまた別な意味での被害者だから堂々と生きていいはずなのに、事実がわかると差別を受ける不当性。だからといってその事実を隠して生きていくのもまた辛いこと。

『差別はね、当然なんだよ。』それは、犯罪者が犯した罪はそれほど重いということを解らせなければならないから。直貴の勤務先の社長が言ったこの言葉が重く響いた。確かにそう。だけれど、だからといって犯罪者の肉親やまわりの人が差別を受けていいということにはならないし、差別はしてはいけないことだと思う。
『差別』に対してどう立ち向かっていったらいいのか、『差別』が持つ意味について、すごく考えさせられました。

映画が封切りになったみたいだけれど、登場人物それぞれが持つ、複雑な感情がどう表現されるのか見てみたいな。海外での上映を期待します。