人に優しいひとは自分にも優しくなりがち、人との関係がかみ合わず幸せではない。
自分に厳しいひとは人にあまり優しくないが人生の設計はうまくいくようだ。
というような映画評を読んでちょっと興味を持ち観て来た。
「家族の庭」(2010年イギリス)
監督マイク・リー
あらすじは地質学者のトムと医学カウンセラーのジェリーの夫婦は、休日には市民農園でガーデニングを楽しみ、穏やかな日々を過ごしている。ひとり息子のジョーは30歳だが、まだ恋人がいないようだ。幸福な生活を送っている夫婦の元には、友人たちがよくやってくる。古くからの友人のケンは、孤独な人生を嘆き、ジェリーの同僚のメアリーは男運の無さを訴えお酒に手を出すといった具合だ。秋になり、ジョーが恋人を連れて家にやってくる。(コピー)
つまり、子育ても終わり、とりたててこともない日常が描かれている。熟年夫婦円満の家庭に、家庭の無いひとたちがやってきて嘆き節を繰り広げるが、夫婦は優しく包み込んでいるようである。
優しい夫婦?理想に近づくためには厳しい選択をしたはず、けして穏やかで優しくなかったはずという姿がほの見えてくるのでもある。イギリス版小津映画ともいえる。
原題は "ANOTHER YEAR” 春夏秋冬の章に分かれていて市民農園でのシーンが美しいし、興味深い。イギリスの一般的な家の中らしい画面もおもしろくよい。