邪恋・暴動・翻弄される者
『ノートル=ダム・ド・パリ』(下)ユゴー邪恋やら暴動やら、そして可憐な乙女の運命。フランス版時代物、大ロマン小説。ジプシーゆえに魔女狩りというのか、死刑を宣告されるエスメラルダ。その美しい娘はストーカー的に恋する中年の聖職者に追いかけられ、死刑から救ってくれた醜い背むし男にも純愛をささげられるが、娘は娘でちゃらんぽらん美男に恋焦がれるその行き違いの皮肉さ、どうしようもなさ。まあまあと、笑って楽しめたはずなんだけど、今は悠長に物語をたどっていく気がしないリアルの世界情勢。従って感想も何がなし滞ってしまってた。悪夢を見ているようだ、いえ、現実がフィクションを超えてしまった。人間の文明はどこに向かうのだろうか!この『ノートル=ダム・ド・パリ』の結末も救いがないとも言えるし、人間の業の深さは果てしがない。なんか、感想ももうやめたいよ…。