「きらきらひかる」江國香織
そうです。直木賞を受賞なさったので、4年前に読んだ本を取り出したのです。それでパラパラめくってたら、全部読み返してしまいましたよ。ごくごく飲み物を飲むシーンが多い。カクテルだったり、天然水だったり紅茶、ジュースなどあらゆる水物が出てくる。読んでる私ものどが渇いたくらいに。私たちは渇いているのだ。何に?ひたひたと、愛がおしよせる。さらさらと、寂しさがおしよせる。アル中で情緒不安定な妻と、ホモの夫とのセックスレスな関係。えー、なにー!っていうことはない。哀しく、せつなく、きれいな気持ちになるのだから。そして、泣けてしまう。『水を抱く気持ちっていうのは...』『それをお互いにコンプレックスにして気を使いあっていることの窮屈。』水彩で描かれた『紫のおじさん』セザンヌ自画像の登場がいい。実にいい。