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カテゴリ:ごはん日記
向田邦子ゆかりの店、というしぶい居酒屋に連れていってもらう。
会社の、わたしが好きな上司たちが飲みにゆくというので、お願いして。 にんじんのピリ煮。さつまいものレモン煮。 うわあ、これ、向田邦子の料理本に載ってた料理だ! と言ったら、biscuit、そんな本まで読んでるなんて、おまえけっこう暇だろう? と茶化される。 好きな人が相手だと、茶化されても嬉しく、えへへ、と笑う。 さつまいものレモン煮、信じられないほどおいしい。 せっかくレシピを持ってるんだし、近いうちぜったい作ろう、と心に決める。 熱燗をちびちび飲みながら、日航機墜落にまつわる謎や当時の武勇伝を聞く。 おもしろくて、テーブルから身を乗り出すようにして聞く。 ひとつの出来事に人生を懸けようと思うほどのめり込み、ディテールを突きつめた人たちは、みんな目がきらきら輝いていてすてき。 いくつになっても、男のひとは男の子なんだ。謎解きが好き。冒険が好き。 わたしはこらえ性のない享楽主義者だから、彼らみたいにじっと耐え忍んで大きな結果を出す、というようなことはできそうもないけど、話を聞くだけでわくわく、どきどきする。 本の話もたくさんする。 ハリーポッター衝撃の結末! あさのあつこ。小川洋子。川上弘美。藤沢周平。 この業界のひとは、東野圭吾や宮部みゆきが好き(なひとが多い)。 楽しくて、くいくい飲んでしまい、うふふふふと笑いが止まらなくなる。 3人の上司のうち、2人はいつの間にか頭を垂れて寝ている。 残るひとりは、よかったら俺のところへ来なさい、としきりに言ってくれる。 俺のところで仕事を覚えたいというやつは、何とか一人前にしてやりたいんだ。しばらくはきつい思いをさせるけど、後悔はさせない。だって。すごい自信! でも、その言葉が空っぽの見栄でなく、次々大きな仕事をして、今は若い人をどんどん育てていことを知っているから、わたしもちゃんと答える。 ありがとうございます。お気持ちだけで、嬉しいです。 4年前、この人が最初の上司だったら、何かが変わっただろうか、と醒めた頭の芯でふと思ってみる。 ちがう。変わらない。誰が上司だとか、どんな場所だったとか、わたしが女だからとか。そういう問題じゃない。 本当に? 本当にそういう問題じゃないのかな。 何かを選ぶとき、代わりに何かを捨てなければならないというのは嘘です。 すてきに見える女性は、口を揃えて言う。 本当に? 本当に嘘なのかな。 そんなこんなで夜が更け。 わたしはまだまだしらふよ。 と思っていたら、帰り道の自転車がまっすぐこげなくて、びっくりした。 でも、ずいぶん酔っぱらっているらしいのに、いつもみたいに涙は出なかった。 注意ぶかく。 冷静に。 目の前にあらわれる現象を、闇雲にひとつの方向へ意味づけするのではなく、ぐっと踏ん張って、できるだけニュートラルにとらえる。 何もかも白か黒か、善か悪かに分けてしまいたくなるけれど、そういうときこそ、もどかしくてもわからないことをわからないままにして、わからない中で今日の幸せを探す。 そうこうしているうち、自然に、わからないことがわかる瞬間が訪れ、だんだん「流れ」が決まってくる。 そのくらいの曖昧さを残しておくほうがいい時期もある。 だから今は、ぐっとがまん。 * デザインテンプレートを変えてみました。 いま、わたしの中で、森への憧れがすごく強まっているので。 5月の連休には、屋久島へ行く予定。 積年の思いがついに! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.02.27 11:45:09
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