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テーマ:花見(122)
カテゴリ:お散歩日記
昨夜の嵐が去り、ふつか酔いもようよう醒め、ぽかぽか陽気の東京は、絶好の花見日和です。 まだふらふらするけれど、この日のために、この町を選んだのだもの。 見逃すわけには、参りません。 カメラをぶら下げ、自転車をこいで川辺まで行く。 こんなふうに、川の流れに沿って、見渡す限りずーっと桜が咲いているのです。 やわらかい花の香りに鼻孔をくすぐられて、夢見ごこち。 橋の欄干にもたれ、しばしうっとりと花に酔う。 桜のトンネルをくぐり、髪や手のひらに花びらの雨を受けて歩くのもまた愉し。 船から見上げるという手もあったか! 午後からひと仕事。 新人さんたちが、研修の間、会社の寮に住むための手続き日なのです。 同じ寮で暮らした日々を、ほんの3ヶ月前のことみたいに思い出せるのに。 このわたしが入社5年目なんて! なつかしい気持ちで、駅から寮までの道をたどる。 あのころには戻れない。 今年の桜は一度きり。 戻れないことが、人生を輝かせる。 さらに夜は、谷中墓地でお花見。 縁あって、大好きな女性作家と同席させていただいたのです。 舞い上がって文字通り何もしゃべれなくなるわたしの手を、彼女はやさしく握ってくださった。 細くてあたたかい手だった。 一度紹介されただけなのに、ちゃんと名前も覚えてくださった。 ああ、思い出すだけで目まいが! 週末の不摂生がたたってほとんど酒が飲めず、過労と体調不良でちっとも社交的でなく、まんがに出てくる思春期の女子みたいに真っ赤になって俯くだけだったし、一世一代の花見酒にしてはいまいちぱっとしない… けれど今夜のことは、きっと一生忘れない。 いつか、もう一度お会いするときにはちゃんとお話できる何かが、この手の中にありますように。 それにしても夜桜、綺麗だった。 墓地に足を踏み入れた途端、鬼気迫る桜の美しさに肌が粟だった。 桜のうつくしさはたしかに、この世ならぬものと深いところでつながっている。そういう気がした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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