|
カテゴリ:お散歩日記
6時起床。
朝ごはんをたっぷり食べ、宿に迎えに来てくれた山のガイドさんの車で、出発。 今日のエコツアーに参加するのは、わたしたち2人と、山慣れた雰囲気の中年のご夫婦。 案内してくれるNさんは、関東の出身。 屋久島に惚れ込んで、7年前に移住してきた。 知識と経験の豊富さはもちろん、島への愛情が、言葉の端々にあふれている。 準備運動をすませ、一定の歩調で山道をゆっくり上がってゆくNさんの後ろについて、山道を歩きはじめる。 濡れて苔むした石や倒木の上は滑るので、一歩ずつ足元を確かめながら、歩く。 ときどき、シカの親子に会う。 ヤクシカは、本州で見るシカよりひと回り小さい。 人に馴れているのか逃げる気配もないけれど、宮島のシカみたいに餌付けされていないので、寄ってきたりはしない。 潤んだ瞳で、じっとこちらを見ている。 古い切り株の上に新しい木の種が落ちて着生、発芽し、やがて大きな木に成長する「切り株更新」、同様に倒木の上で着生する「倒木更新」、古い木が倒れてできた空間に、光が差し込んで新しい木が育つ「ギャップ更新」などを、ひとつずつ見ながらNさんに説明してもらう。 ああ、木漏れ日がきれいだ。 複雑に絡み合う古い木の根と、その上に顔を出す新しい芽。 森は、ひとつのいのちなのだな。 たくさんの命は、別々に存在するのではない。 世代の切れ目なく、境目も曖昧に、すべて環状につながっている。 たとえば死ぬことさえ、ひとつの命の中にある。 宮崎駿監督が映画「もののけ姫」のモチーフにしたという場所。 木漏れ日が、苔むした岩をまだらに染めている。 「屋久島は、島全体が巨大な水耕栽培と言えるかもしれません」とNさんが言った。 少し大きな沢に差しかかったところで、いったん休憩。 白谷雲水峡の水は、ほとんどがそのまま飲める。 だから、山に入るときも、小さなペットボトルをひとつ持ってゆけばだいじょうぶ。 人が歩く道から少し離れたところを選んで、軍手をはずし、澄んだ水に指をひたす。 冷たくてやわらかい感触。 両の手のひらに水を受けて、口に含む。 甘い。軟水だ。 においも甘い。水自体が放つにおいに加えて、かすかに緑のにおいもする。 屋久島に住んでいたら、アロマテラピーなんていらないな。 これで煮物を作ったらおいしそうだな、と思いついてしまい、こんな森の中で煮物の水のことを考えている自分をちょっと笑う。 (その2につづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.05.08 23:28:44
コメント(0) | コメントを書く
[お散歩日記] カテゴリの最新記事
|