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テーマ:今夜のばんごはん(50669)
カテゴリ:ごはん日記
朝、ラタトゥイユの味をみたら少し薄かったので、塩をしてひと煮立ちさせてから実家へ。 風通しのいい居間でごろごろしていたら、母が、くまから送られてきたさくらんぼを洗ってくれた。 つぶが大きくて、実がまんべんなく甘くて、本当においしい。 大げさでなく、これまでの人生で食べたさくらんぼの中でいちばんおいしいと思う。 父は毎朝、会社へ行く前にいくつか食べていくらしい。 あんまりおいしいので、くまに電話をしてありがとうを言う。くまはラーメンを食べている。ラーメン屋にはくまの好きなまんがが置いてあって、それが愉しみなのだ。父にも電話を代わる。父も礼を言っている。 夜はワインを一杯だけ飲み、母の煮込んだとろとろの豚角煮と、脂ののった金目鯛の煮付け、それに蓮根餅を食べる。 平日は気ままなひとり暮らしをして、週末気が向くと実家へ帰り、母の料理を食べられる。 こんな幸せってあるだろうか。 ひとり暮らしをしたことも、実家へ帰りやすい場所に部屋を借りたことも、正しかったなあとしみじみ思う。 明るいうちに実家を出る。 帰りしな、本屋へ寄って、ランボーの詩集を買う。 最近のわたしは、本ばかり読んでいる。 詩も少し読む。 本ばかり読んでしまうのは、わたしの場合、恋をしているときと決まっている。 恋といって、別に相手が人間と決まったわけではない。 花や、草や、甘つぶや、雲や、風や、絵や、音楽の中にも恋はある。 もちろん、本のページの間にもいる。 恋は何にでもできる。 自転車をこぎながら、頭の中でつぶやいてみる。 何にでもできる、と思ってわくわくしているときが、ひょっとすると恋が始まってしまった後よりも楽しいんだ。 恋しいものをいくつも順番に思い浮かべて、夕闇の中でにんまり笑う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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