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テーマ:今日飲んだお茶(1037)
カテゴリ:お散歩日記
今朝もまた、晴れながら雪が降っています。
雪のかけらが日に照らされてきらきら光る。 あんまりきれいなので勝手口を開けて、歯みがきをしながらじっと見る。 向かいの保育所に、きのう誰かがこしらえた雪だるまが、首をかしげて座っている。 土曜日の子どもたちが、だるまみたいにころころ着ぶくれて、雪の中を転げまわっている。 きのう、用事で外へ出かけたついでに、自分で調べた喫茶店に立ち寄ってきました。 道をまちがえて、気づいたら雪原の真ん中にひとりぼっちだったり、不安になって途中で車を止めて地図を確認したり、工事用の細い道に入り込んでしまい、Uターンに苦心したり、雪で駐車場がどこかわからなかったりしつつ、なんとか目的のお店のエントランスをくぐったときは、嬉しかったなあ! 和風喫茶なので、玄関から茶室のような雰囲気。 「靴を脱いでお上がりください」「お静かに」なんて立て札が置いてある。 靴を脱ぎ、そうっと引き戸を開けて中に入ると、中は天井の高い、こじんまりした山小屋みたいな感じ。 カウンターの奥で、銀色のストーブが赤々と燃えている。 あ、アンサリーちゃんの音楽。これは…「こころうた」だな。思いがけない場所で大好きな音楽に出会えて、何だか歓迎されているみたいな気がする。 「景色がいいので…」と案内されたのは2階。ロフト状のスペースに、ごつごつした手触りの木の長椅子が2台と、小さなテーブルがひとつ。足もとに南天の実を絡めた、まるいランプがひとつ。 ロフトの奥には、大人なら身をかがめないとくぐれない大きさの入り口があって、中をのぞくと、あら、小上がり。茶室になっているのですね。素敵。 加賀棒茶という金沢のお茶と、お茶菓子をいただきました。 ひとくち飲んで、ほうっとため息。 誰かがていねいにいれてくれたお茶は、なぜこんなにおいしいのだろう。 これは壁にかけられていた日本画…ではなくて、川に面して作られた横長の窓なのです。 携帯で撮ったからピンボケ。見づらくてごめんなさい。 お店は芭蕉の句にも詠まれた大きな川のほとりに立っているので、眼下にその流れを望むことができます。 両岸は雪で真っ白。葉の落ちた木々と、そこに降りしきる雪。時折、午後の光を受けてきらきら輝きながら、ゆっくりゆっくり水が流れてゆく。 まるで一帖の水墨画を見ているよう。 それも、光の具合や雪の降り方で刻一刻と風景が移り変わるから、ちっとも飽きない。 景色を「切り取る」というのは、こういうふうにするのだな。 あたたかい静かな部屋で、香りのいいお茶をいただきながら、午後の光を浴びて雪景色をみる。 ここはいいなあ。何時間でもぼうっとしていられそうだ。 春や秋には、同じ窓から水彩画のように色とりどりの景色を眺められるのだろう。 この土地の四季を、この窓から全部見たい。 待ち焦がれた春も、短い夏も、木々が狂ったように色づく秋も。それにこの、長くてきびしい冬。 あんまり雪がたくさん降るから、ため息も凍るように寒いから、本当のところ、この土地の冬を好きになれるかどうか心配だった。 だけどいま、この窓から眺める冬は、奇跡のように美しい。 こうやってひとつずつ、自分で景色を発見して、大切な場所になってゆくのだな。 あたたかくなったら、わたしの運転でくまを連れてきてあげよう。 胸に収めた静寂がこぼれないように、そっと、アクセルを踏みこむ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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