本読みのひとりごと

いつもより、３０分だけ早く起きてみた。
ふだんはだいたい６時前に、ごはんの炊けるにおいで起きる。
時間がないからパジャマのまま髪を振り乱して魚を焼き、お湯をわかすはめになる。
今日は５時半にアラームをセットして、二度寝せずにがんばって起きた。
冬だとこの時間はまだ真っ暗だし、寒いからなかなか布団から出られないけれど、今の季節ならだいじょうぶ。

窓を開けると、朝の透き通った空気と一緒に、鳥の鳴き声が入ってくる。
テレビのニュースはつけないで、豆を挽いてふたり分のコーヒーをいれる。
香ばしいにおい。ぽこぽこお湯のわく音。
ちゃんと着替えて、髪をすき、台所を整え新しい布巾をそろえても、まだ６時前。
しょっちゅう焼きすぎてしまう目玉焼きは、表面を観察してちょうどいい半熟に。
いつもの冷奴に、ゆず胡椒としその葉っぱものせる。

何しろ時間があるので、自分の分もお弁当を詰める。
主菜は牛肉とピーマンのからし炒め。「きょうの料理」で見た簡単なレシピ。
卵焼きにしようと思っていた副菜は、じゃがいものお焼きにバージョンアップ。すりおろしたじゃがいもと、ピザ用チーズにかつお節を混ぜて、フライパンで焦げ目をつける。
ほうれん草のおひたしも、梅和えに格上げ。
ごはんにはふりかけじゃなくて、芽ひじきのしょうが煮をのせてみた。
お昼の楽しみにとっておく、と言って、くまはお弁当が冷ましてある台のほうを見ないように歩いている。
今日は一日天気がよさそうだから、わたしも川辺の土手で食べようかな。楽しみ。



お弁当作りって、いつものごはん作りと少し違う。
枠が決まっていて、その中でどうやって味や色や栄養のバランスをとって相手をびっくりさせるか。
スケッチブックに絵を描くときと同じ脳を使っている気がする。
今はやりのキャラ弁というのは、「料理」と「絵」の仕切りをぐいっと絵のほうに近づけたものかもしれない。

夜更かしの３０分はあっという間だけど、朝の３０分はゆったり、豊かに過ぎる。
明日の朝は何をしようか。