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テーマ:ささやかな幸せ(6742)
カテゴリ:花嫁日記
笑っちゃうようなほんとの話なのだけど、去年の今ごろ、わたしたちの結納の朝、実家のベランダにカメがやってきたらしい。
両親と妹は雪国へ向かうため、家中の戸締りをして、何気なくベランダを見た。 そうしたらエアコンの室外機の下、水が少し流れ出したところに、直径15センチくらいのカメが。いたらしい。 ちなみにわたしの実家でカメを飼ったことは一度もなく、近所でカメを見かけたこともない。 実家は集合住宅の1階にあるのだが、ベランダは地面から少なくとも50センチ以上高いところにあって、床下は空洞なのでのぼってくる足がかりもない。 猫や鳥はちょくちょく日なたぼっこをしていくけれど、カメがやってきたのは後にも先にも一度きりだ。 新幹線の時間もあり、カメをそのままにして家族は家を出た。結納が終わって帰ったら、もういなくなっていたそうだ。 当日、ホテルで着付けをしてもらっていたら、到着した母と妹がわたしの顔を見るなり「カメが!カメがベランダに!お祝いに来た!」と矢継ぎ早に話しかけるのでものすごくおどろいた。カメ? 緊張で自分の頭がどうにかなって、とんでもない聞きちがいをしているのかと思った。 おどろいたけど、当日は慣れない着物や式の段取りで頭がいっぱい。ゆっくり考える間もなく、カメのことを忘れてしまっていた。 今日、母と電話で話していて、ふとカメのことを思い出した。 母は実際に見たカメの姿を、わたしは家族の話をつなぎ合わせて作ったカメのイメージをそれぞれ頭に描き、しばらく黙って去年のカメに思いを馳せた。 どうやってのぼったんだろう? どうやって帰ったんだろう? そもそも、どこからやってきたんだろう? 今も、元気に暮らしているだろうか。 じーっと考えていたら、何だかいろんなことがゆるせるような、いとしく思えるような、広い気持ちになった。 この先、カリカリ、イライラすることがあったら、まずカメのことを思い出そう。 月が変わってふと思い立ち、アロマテラピーの勉強を本格的に再開した。 次回の試験まで十分な準備期間があるとは言いがたいが、なにしろ時間だけは毎日たっぷりある。 仮に次の試験で念願叶わなくとも、その次だってあるではないか。 いろいろあって先延ばしにしながらも結局ここに戻ってくるということは、たぶん、ほんとうに好きなのだと思う。 たとえ苦手な化学式でも、アロマに関係あると思うとわくわくするし。 アロマテラピーはいい香りがするし、豊かな気持ちになるし、体が楽になるし、女の子らしい感じがするけれど、それだけじゃない。 医学や解剖生理学や化学や心理学も包み込んだ、現実を生きぬくための生々しい知恵だ。 心と体と魂のつながりに近づく方法は人の数だけ無数にあって、それがわたしにとってはたまたま言葉をつむぐこと、ヨーガをすること、そしてアロマなんだと思う。 一見別のものにみえるけれど、耳を澄ますと全部つながっているのがわかる。 どれも、同じところへアクセスするための方法。分かれているのは入口だけだな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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