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カテゴリ:お散歩日記
東京から遊びに来た友達と、春さがしさんぽ。 一部咲きの桜をながめたり、さくらんぼのビニールハウスを見学したり、けやきを見上げたり。 おそばとジェラートも食べる。 はなれていても、こうしてはるばる会いに来てくれるともだちがいるのは、本当にうれしいことだ。 初めて出かけた美術館が、思いのほか素敵な場所だった。 川が大きく蛇行した「大淀」を見下ろす高台にあって、テラスからの眺めが最高なのです。 川辺には、画家のアトリエも見える(赤いL字型の屋根)。 たまたま絵描きのおじいさんがいて、話しかけたら、「きれい」と「美しい」のちがいについて、それから色が「にごらない」よう、ナイフを使って彩色する方法をレクチャーしてくれた。 「1Q84 BOOK3」を読む。 村上春樹がBOOK3を書いて、わたしのような(ハードボイルドじゃない、なまたまごみたいな)読者にもはっきりとわかるカタチで物語のふたを閉めてくれたこと、感謝せずにはいられない。 切りっぱなしの絶望ではなく、ファンタジーでもいい、希望を提示してくれてありがとうございます、とファンレターを送りたいくらいの気持ち。 これまでの作品だって愛が主題だった(とわたしは考えている)が、今回ほどわかりやすく、明確にそのテーマが提示されたことはないんじゃないかと思う。 逆に言えば、時代がそれだけ切実に物語をもとめているということかもしれない。 砂漠の旅人が、水を欲するみたいに。 あの村上春樹が登場人物に愛を語らせ、その文字をページに印刷しなければならないくらい。 人が生きるには、物語が必要だ。 (それが本のかたちをとるとはかぎらないけれど) 稀代の語り部と同じ時代に生きていることを、心から幸せに思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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