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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
biscuit5750@ Re[3]:子どもを持つことの不自由と、自由(11/17) >バーソロミューさん お久しぶりです! …

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2010.10.27
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カテゴリ:図書館日記
横顔

毎日図書館に来ていたおじいさんが、今朝突然、「今までありがとう」と言って利用者カードを差し出した。
わたしは「えっ」と言ったきり、言葉を見つけられなかった。
「転居することになりました」とおじいさん。

毎朝、新聞と雑誌をていねいに読み、歴史小説を一冊ずつ借りて、ときどき「これはおもしろかったな」と感想を教えてくれることもあった。
わたしがマスクをしてカウンターに座っていたら、「かぜ? 気をつけてね」と声をかけてくれた。
馴れ合わないけれど親しみのこもったやりとりに、何となく安心感をもらっていた。

開館以来の常連さんだから、今までおじいさんと接してきた先輩たちの分も気持ちをこめて、「長いあいだありがとうございました」と言った。
おじいさんはちょっと笑い、「引っ越しは来週。まだいるよ」と片手を上げて、振り返らずに出て行った。

几帳面な文字で名前が記されたカードはまだあたたかくて、ハサミを入れるとき、小さな痛みを感じた。
時は流れ、当たり前のように毎日会っている人たちとも、遠くないうちに別れてゆく。
いつもこれが最後かもしれない、かけがえのない一回だと思いながら、お客さんや周りの人に接していたい。





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Last updated  2010.10.27 23:01:00
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