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テーマ:仕事しごとシゴト(23733)
カテゴリ:図書館日記
ゆっくりと日記をつづる時間を持てないでいるうちに、冬の足音が聞こえてきました。 いつ雪が降ってもおかしくない時期なので、くまとくま父さんが車のタイヤを交換して、ワイパーも冬用に付け替えてくれる。 去年まで車のことはくまに任せきりだったけれど、通勤で毎日乗るようになって、自分でガソリンを入れたりときどき洗車もしているうち、いつの間にか、じいさんの車をかわいく思うようになった。 夜、仕事を終えて駐車場に戻ったとき、鍵を開けるボタンを押して、前のライトがちかっと光ると、「おかえり」と言われたような気がしてほっとする。 まだモーターがあたたまってないな、とか、アクセルを踏みすぎて息切れしているな、ということも、エンジンの音を聞いてわかるようになった。 この冬もどうぞよろしくね、と思いながら、リアーガラスについた霜をていねいに落としてやる。 その車に、今朝は愛用のカメラも積んで、おじいさんとおばあさんの家をたずねる。 図書館で発行している小さな広報紙のための取材なのです。 地図を片手にはじめての道を運転しながら、何だか可笑しくなる。 まさか自分がもう一度「取材」をすることになるなんて。 前の会社を離れるときはもちろん、図書館で働こうと決めたときだって、思ってもみなかったな。 人生ってほんと、何が役に立つかわからない。 おじいさんは、背広を着て待っていてくれた。 帰りぎわ、妙にふくらんだそのポケットに手を入れて、あんこがたっぷり入ったおまんじゅうをひとつ、わたしの手にのせてくれる。 泣きそうな顔で走り回っていたあのころも、よく取材先の方にお菓子をいただいたなあと思い、なつかしくてほほがゆるんだ。 仕事って、渡したり渡されたりする大きな流れの一部になることなのかなあと最近思う。 それぞれが、受け取る分より渡す分がほんの少し多くなるように働けば、全体の循環もスムーズになる。 惜しみなく渡して、空いた手の中に新しい何かがやってくるのをわくわくしながら待てる自分になりたい。 …なんてことを、おまんじゅうをもぐもぐ食べながら考えたのでした。 おじいさん、ごちそうさまでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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