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テーマ:野鳥好きっ♪(16298)
カテゴリ:お散歩日記
雪国でも、とうとう桜が咲きはじめました。 二分咲きの樹に、スズメより小さい、みどりがかった鳥が群がってピーピー鳴いている。 あわただしく飛び回るようすを見ると、蜜を吸いにきたメジロだな。 スイセン畑の向こうに、今年はじめてキジのすがたを確認。 ケェーと甲高い声で鳴いて、たぶんメスを呼んでいるんだろう。 鳥の声に耳を澄ますことを、わたしはこの春、一冊の本に教わった。 三宮麻由子「鳥が教えてくれた空」。 翻訳の仕事をしながらエッセイを執筆し、ピアノを弾き書道をたしなみ、俳句やお花の心得もあるという著者は、4歳のとき、病気の手術で光を失った。 その文章はふしぎに透明で、気負いがなく、まっすぐな感性と豊かな発見に満ちている。 あわてて読み終えるのがもったいなくて、ちびちび読んでいるのでなかなか進まないのだが、この本のことはいずれ、別の機会にゆっくり書きたいと思う。 それで、鳥の声。 小学生のころには、スズメの声で朝の時間を知り、鳴き方でその日の天候や町並みまでもわかるようになったという三宮さんは、「鳥たちとつき合うようになり、耳と手で触れる、いわば二次元の世界しか知らなかった私が、三次元の立体世界に飛び込むことができた」と綴っている。(「スズメの出勤」より) そのくだりを読んで、はっとした。 鳥は花とちがってじっとしていないし、たいていヒトの目線より高いところにいるから、さんぽ中の自然観察リストに加えることができずにいた。 でも、そうだ、歌に耳を澄ませればいいのだ。 行き交う車のエンジン音を遮断するためにイヤホンを耳に押し込んで、わたしは知らず、外界の音に対して自分を閉ざしていた。 耳を開けて注意ぶかく歩いてみたら、カラスとスズメくらいしかいないと思っていたうちの近所にも、いろんな鳥がいるらしいことがわかった。 ムクドリ、ヒヨドリ、シギ、カモ、トビ、ホオジロ。 運がいいと、オオルリの愛らしい歌も聞ける。 ウグイスの声は、今年はまだ聞かない。 鳥の声を聞き分けるために、桜の木を見上げてぽかんと口を開けていたら、前から歩いてきたおじいさんに「今年の桜はどうですか?」と声をかけられた。 しばし立ちどまって雑談。 聞けば20年数年前までくまと同じ仕事をしていたそうで、「このたびはほんとうにご苦労さまです。がんばってね」と夫に代わり励ましの言葉をいただく。 奥さんもひとりで大変だろうけど、たくさん歩いて、栄養つけて、赤ちゃんを大事にね。 すれちがう人とあいさつくらいはするけど、考えてみれば、こういうことはあまりない。 おなかが大きくなってきたせいもあるかな。 でも、きっと、耳を開けて外の音を聴こうとしている人は、そうでない人より、傍から見ても話しかけやすいのだろう。 三宮さんが鳥の声で空を知ったように、わたしも三宮さんから、世界を押し広げる方法を教えてもらった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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