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2005.02.28
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テーマ:ニュース(100237)
カテゴリ:国内時事問題
H2Aロケット7号機、打ち上げ成功…衛星を分離 2月27日2時8分 (読売新聞)
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、26日午後6時25分、気象観測などを行う運輸多目的衛星(MTSAT)新1号を搭載したH2Aロケット7号機を鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げた。

 ロケットは40分後に衛星を分離、予定軌道への投入に成功した。H2Aの打ち上げは、2003年11月の6号機失敗以来1年3か月ぶり。

 基幹ロケットの信頼性回復への一歩を踏み出すとともに、国際貢献からビジネス参入までにらんだ日本の宇宙開発計画も新たなスタートを切った。


 予定より1時間16分遅れの打ち上げで、7号機は秒読みの後、太平洋上空へ飛び立った。第1段、第2段の各エンジン燃焼と切り離しに続き、午後7時5分、南太平洋上空約2000キロ・メートルで衛星を分離した。

 MTSAT新1号は、27日未明に、まずアンテナ部分の展開を完了した。

 MTSAT新1号は、老朽化した気象衛星「ひまわり5号」の後継機。気象観測のほか、太平洋上の航空管制などにも使う。今後10日ほどかけて高度3万6000キロ・メートルの静止軌道へ移行し、順調にいけば、5月末ごろに運用が始まる。

 JAXAは、6号機失敗の原因となった固体ロケットブースター(大型補助ロケット)のノズル(噴射口)の改良をはじめ、点火システムの設計変更や飛行データ受信設備の増強など77件の課題について対策を施し、万全の態勢で臨んだ。

 ◆宇宙開発、空白の1年3か月◆

 H2A打ち上げの中断期間は1年3か月にもわたった。1号機から5回連続の成功後、2003年11月に6号機が失敗。同時期に、JAXAが開発した環境観測技術衛星「みどり2号」機能停止と火星探査機「のぞみ」運用断念もあり、日本の宇宙開発全体に長い空白を生んだ。

 文部科学省宇宙開発委員会は3つの失敗を精査する調査部会を27回、ロケット再点検の専門委員会を14回も開いた。JAXAの業務も見直され、ロケット、衛星の製造企業との責任分担を明確にするよう求められた。

 結局発見できなかったが、6号機の固体ロケットブースターの海底探索に3か月をかけた。改良型ブースターの地上燃焼テストも3回実施した。国の基幹ロケットだけに信頼性向上にかけた費用は80億円にものぼる。

 予算と人員がH2Aに重点化されたことで、2月に予定していたエックス線天文衛星の打ち上げは夏まで延期、地上の位置測定などに使う準天頂衛星計画も足踏みしている。

 ◆H2A=旧宇宙開発事業団が1996年に開発を始めた2段式の大型ロケット。燃料は液体水素と液体酸素。基本仕様では約4トンの静止衛星を打ち上げられる。

 全長は約53メートルで、17階建てのビルの高さに相当。7号機の打ち上げ時の重さは約320トン。
H2A・7号機を打ち上げ
H2A・7号機を打ち上げ
打ち上げられるH2Aロケット7号機。
6号機の失敗から1年3カ月ぶりで、運輸多目的衛星新1号機を搭載している
(26日午後6時25分、鹿児島県・種子島宇宙センター)
(時事通信社)19時16分更新

■打ち上げ成功ヽ(´ー`)ノバンザーイ
打ち上げ前にトラブルもあったようですが見事打ち上げに成功したようでホッとしています。
さぁこの調子で偵察衛星・・・もとい情報収集衛星もとっとと打ち上げてくださいw

さて、日本の気象衛星「ひまわり」は東経140°の静止軌道から東太平洋からオセアニアにかけての気象観測を行っていました。
ニュースの気象コーナーで

「それではひまわりの天気図をご覧下さい」

で馴染みがありますね。
しかし、その取得したデータは東南アジアからオーストラリアに至る多くの国々が利用してきた事は意外に知られていません。
単なる気象衛星かと思いきや意外と重要な衛星だったんですね、見直しましたw

で、今回打ち上げた「ひまわり5号」の後継機である衛星が「運輸多目的衛星」と言う名前になっているのは気象衛星「ひまわり5号」の後継機に航空機の管制用の通信機器を相乗りさせているからなんですが、これに関しては
H-IIAロケット、成功でも単純にバンザイとは言えぬ関係者の表情 2005年02月26日 00時40分 (nikkeibp.jp)
MTSAT-1Rを巡る不安

そのMTSAT-1Rは、様々な不安要素を抱えている。日本は国際的な公約として1970年代に静止衛星による気象観測を開始した。気象衛星「ひまわり」シリーズは、1995年3月に打ち上げた「ひまわり5号」まで、東経140°の静止軌道から東太平洋からオセアニアにかけての気象観測を行い、取得データは東南アジアからオーストラリアに至る多くの国々が利用してきた。しかし、それほど重要な衛星にもかかわらず、当時の運輸省・気象庁は予備衛星の用意を怠ってきた。

加えて運輸省は、「ひまわり6号」に当たる気象衛星に航空機の管制用の通信機器を相乗りさせて、名称も「気象衛星」から「運輸多目的衛星」へと変更した。

「あれもこれも」と欲張った目的を満足させようとすると、すべからく機械は故障しやすくなる。気象観測を確実に行うためには、衛星の目的は気象観測に限定するべきだ。予備機も用意しない気象衛星ならば、このような二兎を追う衛星にするべきではなかった。

MTSAT-1Rは、アメリカの静止気象衛星「GOES」の設計を基本に、航空管制用通信機器を相乗りさせた設計だ。現在アメリカが運用している「GOES」に、このような通信機器を相乗りされた機体は存在しない。つまりMTSAT-1Rは初めて軌道上に打ち上げられる「初物」の衛星である。

またMTSAT-1Rには、米レイセオン社が開発した新型気象センサーが搭載されている。新型と言えば聞こえが良いが、つまりはこれまで実際に軌道上で動作するかどうか検証したことがない「初物」だということだ。

10年前に打ち上げられた「ひまわり5号」はすでに予定した寿命を大幅に過ぎており気象観測を停止している。東太平洋の気象観測は、気象庁が米海洋大気庁(NOAA)から借りた気象衛星「GOES-9」が行っている。そのGOES-9もそろそろ寿命が尽きようとしている。MTSAT-1Rの打ち上げが成功したとしても、軌道上でトラブルを起こせば、東太平洋、オセアニア地域の気象観測に空白が生じることになる。気象観測にとって何よりも大切なのは継続だ。衛星気象観測の中断は、台風の進路予測を困難にし、長期予報の精度を損ない、長期的な地球環境の監視に悪影響を与える。

記者会見では「ロケットから分離後、衛星にトラブルが出た場合の責任はロラールとの間でどのような取り決めになっているのか」という質問が出た。これに対して、国土交通省の松本勝利航空衛星室室長は、「ロラールが故意にトラブルを起こしたならば賠償請求もあり得るが、その場合は立証責任は我々にある。このためリスクは我々が負うことになると考えている」と答えた。

誰のせいにも出来ない。国土交通省・気象庁は、初物の衛星構成に初物の気象センサーを搭載したMTSAT-1Rを軌道上で完全に動作させなくてはならない。失敗すれば日本は国際公約の不履行ということになり、周辺各国に多大な迷惑をかけることになる。


今回の打ち上げの概要をまとめたパンフレットには、MTSAT-1Rの目的を

1)次世代航空保安システムの中核となる航空ミッション

2)気象衛星「ひまわり」シリーズの後継としての気象観測機能

と、まとめている。

しかし、国民生活に与える影響から考えると、重要度は逆に気象観測機能のほうが大きい。実際、記者会見後、マスコミ関係者が集まったのは、国土交通省の松本勝利航空衛星室室長のところではなく、気象庁の大島隆気象衛星室室長のところだった。

まず目指すのは打ち上げ成功だ。だがその後には、初物尽くしの衛星を軌道上できちんど動作させるという難関が待っている。
■と言う指摘もあります。
まぁうまく共存できれば多目的に越したことはないわけですが・・・

しかしまぁ一番気になるのは「名前」ですよ(ヲイw
宙に浮く愛称 ~気象衛星ひまわり5号後継機~ 2005/02/26 (東京新聞)
 気象衛星ひまわり5号の後継機として、二十六日夕に種子島宇宙センターから「H2A」で打ち上げられる運輸多目的衛星新1号の愛称が、まだ決まっていない。旧1号は一般公募で愛称が内定していたものの、一九九九年の打ち上げ失敗で空中爆破の憂き目にあった。今回は打ち上げ後の公募予定もない。気象庁は「とにかく無事に上がってから名前のことも考えたい」としている。

 運輸多目的衛星は、航空管制機能も備える気象衛星。旧1号の愛称は、気象と航空の両方をイメージできるものをと、当時の運輸省内で「あおぞら」「おおとり」などの案が浮上した。

 同省と気象庁が公募したところ、全国から一万通近い応募があり、愛称を内定。打ち上げ成功を待って命名披露する予定だったが、打ち上げが失敗に終わり、内定した愛称は結局、公表されなかった。


 日本の衛星の愛称は、技術試験衛星きく、通信衛星あやめ、放送衛星ゆり、測地実験衛星あじさいなど花の名前が多い。「ひまわり」は、七七年打ち上げの1号から二〇〇三年引退の5号まで、四半世紀も親しまれた。

 現在の中古気象衛星ゴーズ9号を米国から借りる時、気象庁内には「はなみずき」の案も一時あったが、幹部職員らの話し合いで「パシフィックゴーズ」に決まった。だが、横文字で長いため不評で、定着しなかった。

 今回の打ち上げは、日本の宇宙開発にとって背水の陣。気象衛星も相次ぐトラブルでがけっぷちにあり、気象庁は「いろいろゴタゴタしたので愛称は考えていないし、今のところ公募の予定もない」という。

 同庁気象衛星室では「ひまわりは非常に愛着のある名前だったので、“ひまわり6号”と呼ぶ人もいるかもしれない」と話している。
(後略)
■いやいやいや。

どう考えても一番馴染み深い「ひまわり6号」でしょとw

「ひまわり」という冠名は、七七年打ち上げの1号から二〇〇三年引退の5号まで、四半世紀も親しまれた訳ですからねぇ。





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Last updated  2005.03.01 12:03:03
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